第2回4年生研究発表会(2022/1/18)

2022年1月18日(火)に地球物理学コース第2回4年生研究発表会がオンラインで開催されました。2回目となった今回の研究発表会は、宇宙地球物理学科地球物理学コース所属の4年生が、自身の卒業研究や、将来の研究に繋がる先行研究の論文レビューを発表する場でした。多くの学生が、自身が取り組んできた研究を紹介し、4年間の学部生活の集大成を発表しました。

PPARC所属の4年生は、以下のタイトルで発表を行いました。発表タイトルと、研究~発表会を通じて抱いた感想を紹介します!


近藤大泰
<タイトル>
極端紫外線望遠鏡衛星HISAKIを用いた木星の衛星エウロパ起源の酸素原子の観測
<感想>
私は、昨年のPPARCセミナーで発表したPPARC実験の続きの内容で、解析期間やデータの積算手法の見直しを主に行った。使用した衛星のデータはエウロパをメインで観測しているものではないため、データを積算していくにも工夫が必要だった。最終的にはモデルで想定されている量と結果を比較した。データを処理していく中で、処理に不適切な点があり、修正や改善することが多々あった。今回の研究をやっていく中で、自分のやっていることが正しいのか否かを吟味する重要性を痛感した。

佐藤晋之祐
<タイトル>
粒子シミュレーションを用いた衛星Europaへの木星磁気圏電子降り込みの再現
<感想>
私は、木星の氷衛星Europaに木星磁気圏から降り込んでくる電子の軌道を追跡するシミュレーションによって、その降り込みの分布を導出する研究に取り組んだ。この研究はEuropaへの電子降り込みは南北で非対称が存在することが示唆されており、その検証を目的としている。電子の運動を司る物理過程を再現するだけでなく、大規模な数値計算における計算コストを減らす工夫にも力を注いだ。発表では、平易な言葉で説明すること、端的にまとめられた見やすいスライドの作成に力を注いだ。対面での発表を経験することなく学部生活を終えることになり残念に思うが、今後のJpGUなどに向けて発表のスキルをさらに磨いていきたい。

寺岡耕平
<タイトル>黒点構造の複雑さとフレア発生との関係 ~磁気エネルギー不安定化とダブルアーク不安定生について~
<感想>
今回は、研究につながる論文の紹介と修士以降の研究計画について紹介した。大学院で専門が変わるため研究紹介は出来なかったが、論文紹介の割合は3割程度であった。成熟した分野では、学生が初めて研究できそうなテーマが中々見つからず、そこに一番時間がかかった。知識量と理解不足により満足のいく発表が出来ていないことを実感したため、今後は実際にデータ解析・シミュレーション技術を習得しつつ理解を深めたい。

吉野富士香
<タイトル>
ハワイ60cm望遠鏡における補償光学システムの改良
<感想>
補償光学というのは、地上観測の際の“大気によるぼやけ”を補正するためのもので、「地上からでも宇宙から見たような像が見える」ということにロマンを感じ、これまで勉強してきました。12月頃はプログラムが思うように動かず、“むしろないほうがまし(失笑)”な状態で絶望していたのですが、皆様から頂いたご指摘やアドバイスを参考に試行錯誤し、最終的には要求水準を達成する補償光学ができました。ちゃんと動いたときの感動は今でも忘れられません。感情がころころ変わって、とても楽しかったです。PPARCの皆様、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

4名とも大学院で引き続き研究に取り組む予定です。研究を行う中で学んだこと、2回の研究発表会で頂いたコメントなどを、今後の研究や発表機会に活かしていきたいと思います。

(文責: 佐藤晋之祐)