宇宙の電磁波が地上に伝わる”通り道”を可視化することに成功! (2021/12/10)

(記:笠羽)金沢大・理工研究域の松田昇也准教授ほか国内外の研究者と進めている国際共同研究で、JAXA・宇宙科学研究所の科学衛星「あらせ」の観測データを主軸とした複数の科学衛星による同時計測された電磁波とプラズマ粒子データなどから、宇宙の電磁波が発生する領域を明らかにし、目には見えない”電磁波の通り道”の存在を世界で初めて突き止め、電磁波が地上へと伝わる仕組みを解明しました。詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。

科学衛星「あらせ」は、本研究科・小野高幸名誉教授を始めとするメンバーが中核を担ってきたもので、地球周辺の宇宙空間に広がる高エネルギー電子が蓄積される「バンアレン帯(放射線帯)」の成因を調べ、電子と電磁場を同時観測してその相互作用を解明しつつあります。
本プレスリリースの成果は、私が開発の責任を担ったPWE(電場・プラズマ波動観測機)によるものです。本論文開発された手法は、2025年到着を目指して水星に向かいつつある日欧共同BepiColombo探査機、2022年打上を目指して最終試験に向かいつつある欧州木星探査機JUICEに東北大が搭載する電磁場観測装置にも適用されていきます。両探査機には「あらせ」から発展した本学開発の観測装置が搭載されており、将来につながる貴重な成果です。
本論文の主役、金沢大・松田さんは10月にJAXAから准教授として赴任したバリバリの若手研究者で、BepiColomboでの活躍も期待しております。

東北大学プレスリリース: https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/12/press20211209-01-wave.html
東北大学・理学研究科広報: https://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20211209-11857.html

金沢大学: https://www.se.kanazawa-u.ac.jp/news/20211208.html

名古屋大学: https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20211209_isee.pdf

情報通信研究機構: https://www.nict.go.jp/info/topics/2021/12/08-1.html

JAXA 宇宙科学研究所 – あいさすGATE: https://www.isas.jaxa.jp/home/research-portal/posts/gateway/20211209/

コロラド大学 LASP: https://lasp.colorado.edu/home/2021/12/08/mapping-the-three-dimensional-paths-of-electromagnetic-waves-from-outer-space-to-the-ground/

北國新聞 朝刊 / Web版: https://news.yahoo.co.jp/articles/c992053b37f0d59904f4d418116bfa652fd1d89e

<論文>
Shoya Matsuda, Yoshizumi Miyoshi, Yoshiya Kasahara, Lauren Blum, Christopher Colpitts, Kazushi Asamura, Yasumasa Kasaba, Ayako Matsuoka, Fuminori Tsuchiya, Atsushi Kumamoto, Mariko Teramoto, Satoko Nakamura, Masahiro Kitahara, Iku Shinohara, Geoffrey Reeves, Harlan Spence, Kazuo Shiokawa, Tsutomu Nagatsuma, Shin-ichiro Oyama, Ian Mann (2021). Multipoint Measurement of Fine-Structured EMIC Waves by Arase, Van Allen Probe A and Ground Stations (あらせ,Van Allen Probe-Aと複数の地上観測拠点による電磁イオンサイクロトロン波動の同時多地点観測). Geophysical Research Letters
https://doi.org/10.1029/2021GL096488