Geotail 衛星データを用いた地球オーロラ電波(Auroral Kilometric Radiation)の長期 統計解析:自動検出技術の適用

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北極・南極の上空で輝くオーロラ。そのはるか上空では、ラジオの中波帯に相当する周波数で、強力な電波活動 Auroral Kilometric Radiation(AKR)が宇宙空間に放たれています。この強度と周波数はオーロラ活動につながる地球の磁気圏におけるさまざまな現象や構造と密接に関係し、その全体活動量をリアルタイムで示す指標としての役割も果たしています。

日米共同衛星Geotailは、1992 年の打ち上げから 2022年まで、約30 年に渡りこの電波活動を継続観測しました。これだけ長期間にわたって単一衛星の質の高い観測がなされたのは初めてです。3回の太陽活動周期が含まれ、太陽活動の地球への影響を調べるうえで貴重なデータを提供してくれています。このユニークなデータの長期統計解析によって、AKRの発生特性や変動傾向から地球磁気圏の理解を深めることを目指しています。

このような電波活動は惑星共通にみられます。2026 年から日欧共同探査機BepiColombo の周回観測が始まる水星、2031 年から欧州木星・氷衛星探査機JUICEの周回観測が始まる木星、2000-2010年代に米Cassini 探査機が探査した土星、将来の探査計画検討が進む2つの氷巨大惑星、天王星・海王星。これらへの研究発展も期待しています。

文責:山中陽斗

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