JAXA Arase衛星を用いた地球磁気圏・電離圏の電子密度・温度導出

This post is also available in: English
地球の放射線帯を飛翔する JAXA の Arase衛星は、電離圏から静止衛星軌道を超える領域の活動を調べています。その柱の1つである電子密度は、電場アンテナで受かる Upper Hybrid Resonance (UHR) という波の周波数からわかるのですが、電子が少なく波が弱いところでは精度が出にくくなります。
宇宙空間では、周辺から衛星に入ってくる電子と太陽光に叩かれて出ていく光電子とのバランスで帯電します。これによって決まる衛星の帯電電位の変動を、電子の直接粒子計測も組み合わせて2017年の打ち上げから8年あまりのデータで調べています。電子の流入量は、電子の密度と温度に絡むため、この手法によって、電離圏から磁気圏に至る広い範囲の電子の密度・温度の変化の理解につながります。
衛星の電位は、電子・イオンを高エネルギーまで加速する宇宙空間電場を計測する基盤でもあります。この研究は宇宙を支配する加速電場の測定精度向上にも貢献するとともに、2026年末に水星周回観測を始める日欧共同探査機 BepiColombo 観測も支えるものになります。
文責:川潟桂也
This post is also available in: English