欧州探査機 Mars Express に搭載された近赤外分光撮像装置を用いた火星のダスト&大気圧変動の研究

This post is also available in: English

私は、火星を周回する欧州探査機 Mars Express に搭載された近赤外撮像分光装置 OMEGA を用い、火星の大気、特にその主成分である二酸化炭素 (CO2) の観測データの解析を行っています。

火星の大気中には、表面から巻き上げられて漂うダストがその気象を決定づけます。ダストが多いと大気は不透明になり、探査機からみえる二酸化炭素の吸収は低めになります。また、気圧が低い場所では、その分大気が薄くなっているため、二酸化炭素の吸収は同じく低めになります。

この原理を使い、フランスのチームと協力して、火星のダスト雲の厚さやダストの鉛直分布構造、地表面圧力量を導出するシステムを開発してきました。これを利用することで、ダストが飛び交い、ときに全球にまたがる砂嵐「ダストスートム」が吹き荒れる火星の気象現象のメカニズム解明に貢献しています。このシステムは、2026年打ち上げ予定の日本の次世代火星探査ミッション MMX などにも適用していく予定です。お楽しみに!

文責:風間暁

This post is also available in: English