欧木星探査機JUICE搭載RPWI: 「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」と共に木星へ (2019/10/3)
(文責:笠羽)
木星氷衛星探査計画JUICE (Jupiter Icy Moon Explorer)は、欧州宇宙機関(ESA)による大型将来惑星探査です [https://juice.stp.isas.jaxa.jp/]。2022年の打ち上げを目指し、現在開発が進められています。東北大は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を介して、この探査機に搭載される観測装置チームの1つ、電波・波動観測装置RPWI (Radio and Plasma Wave Investigation)を提供します。私が日本側代表者を務めており、東北大のみならず、数々の研究者が参加してスウェーデン・ポーランド・フランスとの共同で開発を進めてきました。
このRPWIのチームロゴとして、コンペによって勝ち抜いた元提案(by 仏・IRAPのNichlas Andre)は、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」(©SEGA)を活用したものでした。ソニックは宇宙をも舞台に活躍する音速ヒーローで、欧州メンバー、どなたでもご存知。
さてどうしたものかと、チーム代表であるJan-Erik Wahlund博士(スウェーデンIRF-ウプサラ)のご子息に原案を描いて頂き、東北大からセガ社へ打診させていただいたきました。幸いご快諾を頂き、そればかりではなく、RPWIのチームロゴデザイン自体を無償でデザインまでして頂けることになりました。誠に感謝に耐えません。
RPWIは、木星と衛星が織りなす太陽系で最強力な電磁場活動を捉え、また木星が放つ強力な電波の反射波を用いたカリスト・ガニメデの氷地殻とその地下に潜む「海」の検出を目指した観測を行います。このため、ロゴにはその象徴である稲妻マーク、そしてスローガン「電気を帯びるもの。また揺れ動くもの。すべては我らのもの!」が刻まれています。
RPWIチームは、このロゴとともに、2022年(予定)の打ち上げから始まる長い木星への旅に、我々JUICEメンバーの一員として参加することになります。
木星への到着は2029年の予定です。
(残念ながら「宇宙で問題なく使えると既に承認された材料以外は、ハードウェアにつけてはいけません」という制限があるため、ソニック君ステッカーが貼り付けられて飛んでいく、というわけではありません。例えばインクに起因するガスが光学系を曇らせたりする恐れを完全には排除できないためです。このあたり、ご期待いただいた方々には大変恐縮ではございますが、我々もプロなので・・・このあたりは、一切の妥協なく、最高の性能を目指して挑みます。)
セガ社からご提供頂いたJUICE-RPWIチームロゴ。他に正方形バージョン・白黒バージョンなどがあります。(©SEGA)
JUICE探査機(©Airbus DS)。RPWIは、4本の電子・電場センサーLP-PWI(3-m長)とMAG boom(10.5-m長)に搭載される電波センサーRWI・磁場センサーSCMをその「目」として木星へ向かいます。センサー群は、LOGO上で「探査機から延びる赤い線」として見えます。
10/21に、朝日新聞で紹介されました。
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「ソニック」が木星探査機ロゴに 研究者がセガに打診