PPARC セミナー (2024/12/20)
(1) Riku Kikuchi
[Title]
地球磁気圏のEMIC波:VAP衛星による統計解析及びArase衛星による偏波解析
[Abstract]
Electromagnetic ion cyclotron (EMIC) 波はイオンのサイクロトロン運動によって生じる電磁波であり, 惑星磁気圏の変動に大きく寄与する. EMIC波を観測・解析することにより, 磁気圏のイオン組成, 放射線帯の粒子損失, 磁気嵐の影響などの諸現象の理解に結びつく. 本発表は地球磁気圏のEMIC波に焦点を置いた2部構成である. 第1部では, Van Allen Probes (VAP) によるEMIC波の発生空間分布と太陽風・磁気擾乱との依存性についての論文 [Usanova et al. 2024] を紹介し, EMIC波の発生と磁気圏変動は関連していることを示す. 第2部では, Arase衛星のMagnetic Field Experiment (MGF) データによる偏波解析状況の報告を行い, 解析のプロセスとその導出結果を示す.
(2) Naoko Takatori
[Title]
ハレアカラT60望遠鏡のファイバー面分光を用いた水星Na外圏大気の時空間変動の観測
[Abstract]
水星はNaを含む外圏大気を有しており、その変動性が地上観測等によって明らかになっている。また、水星の表面・外圏大気・固有磁場・太陽風・惑星間空間磁場(IMF)の間には密接な相互関係があると考えられている。そのため、水星Na外圏大気の変動を研究することは水星や水星を取り巻く環境の理解に有効である。本研究では、東北大学が所有するハレアカラT60望遠鏡のファイバー面分光を用いて水星Na外圏大気の時空間変動を観測することを目的とする。本発表では、11月に行った水星観測の結果に適用する解析手法と現在の進捗を報告する。
(3) Haruto Yamanaka
[Title]
GEOTAIL観測へのオーロラキロメトリック放射(AKR)自動検出の適用
[Abstract]
オーロラキロメトリック放射(AKR)は、オーロラを励起する降り込み粒子の加速領域を放射源とする惑星放射であり、AE(Auroral Electrojet)指数や地磁気指数とよい相関を持つことから、地球磁気圏の活動度を示す重要な指標となり得る。AKRが観測される周波数帯は30~800kHzであることが知られており、この帯域には太陽Ⅲ型バーストなど他の電波も含まれる。本研究では、AKRを自動検出する技術を開発し、GEOTAIL衛星の観測データに適用することで、AKRのより高度な解析を目的とする。本発表では、自動検出技術の開発の進捗状況について報告する。