PPARCセミナー(2023/11/24)
PPPARCセミナー(2023/11/24)
(1)
[Name]
Hikaru Suzuki
[Title]
南極昭和基地ミリ波分光観測計の紹介と研究報告
[Abstract]
地球中層大気では、磁気嵐や太陽プロトンイベント(SPE)による数keV-MeVの高エネルギー粒子降下(EPP)の影響で窒素化合物(NOx)や水酸化化合物(HOx)が直接生成される。これらの物質が増加により、オゾンが触媒作用で破壊され、大気の放射バランス・力学・大規模循環が乱される。また、これらの物質は極域の冬に極渦の下降によって下層大気に運ばれ、下部中間圏・成層圏オゾンの破壊にまで寄与してしまう可能性があり、地上の気候にも大きな影響を与える可能性がある。私の研究では、南極昭和基地にあるミリ波分光観測計を使用し、磁気嵐やSPEが発生した際の中間圏オゾンカラム量の変化を調べている。地上観測は局所的な領域内でのEPPによる時間変化を詳細に調べるのに最適な方法である。また、ミリ波分光観測はほかの地上観測法と比較し、昼夜連続観測可能な点、大気中エアロゾルの影響を受けにくい点など多くの利点があり、オゾン連続観測に適している。本セミナーでは、ミリ波分光観測計を使用した中間圏・下部熱圏におけるNO変動の論文に触れながら、昭和基地のミリ波装置の詳細や解析方法、現在の研究課題を報告する。