続・観測装置を作っています
前回の投稿でも紹介した、
惑星観測用コロナグラフの開発について、引き続き紹介致します。
コロナグラフでは光学系の内部に望遠鏡の瞳を投影し、その大きさに合わせた瞳マスクが必要になります。
厚さ50μm程度のステンレス板を加工して、外径20mm程度のドーナツ状の円盤の内側に直径6mm程度の円盤
が0.2mm程度の腕で支えられた構造(写真g)を作成しなければなりません。レーザーや放電加工機による
加工が考えられますが、今回はフォトリソグラフィという手法を用いて、以下の手順で作成を試みました。
(1) 厚さ50μmのステンレス基板に、フォトレジストと呼ばれる液体を滴下し(写真a)、
高速で回転(2000RPM)させることにより(写真b)、基板の表面に数μmの厚さで均一に広げます(写真c)。
(2) マスクのパターンをレジストコート済のステンレス板に投影し(写真d)、露光します。
(3) 露光済のレジストパターンを現像します。光が当たった場所のレジストが溶解します(写真e)。
(4) 塩化第二鉄のエッチング溶液につけます(写真f)。
(5) レジスト部分以外のスレンレス基板が溶解し、マスクが完成します(写真g)
文字に書くと簡単なようですが、レジストの厚さや露光時間、基板の厚さとエッチングの時間など、
適切な条件をみつけるのに試行錯誤を繰り返す必要があります。ただし、一度に異なるパターンのマスクを
安価に制作できる利点があります。(鍵谷)