水星の日面通過

2016年5月9日に水星の日面通過が約10年ぶりに起こります。水星の日面通過は、地球にいる観測者から見て水星が太陽の前を横切る現象です。左の図は、2016年5月9日18:00(日本標準時)から1時間ごとの太陽に対する水星の位置を示したものです。見やすくするため、水星の視直径は実際の2倍に拡大してあります。今回の日面通過は、残念ながら日本からは観測できませんが、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ大陸では良い条件で観測することができます。我々もハワイのハレアカラ観測所において観測を実施する予定です。

さて、水星の日面通過からどのようなことがわかるのでしょうか?水星には、希薄ながらもナトリウムやカルシウムといったアルカリ(土類)金属元素から成る希薄な大気の存在が知られています。これら水星近傍の大気を構成する元素により、特定の波長において、太陽からくる光が僅かながら吸収を受け、光量が減少します。減少した光の量を精密に測定することで、水星大気の量と分布がわかると期待されます。 (鍵谷)