飯舘惑星電波望遠鏡IPRTがインドの電波望遠鏡ORTとの低周波VLBI計測に成功

当センターの飯舘惑星電波望遠鏡IPRT(図1)がインド南部Ooty近郊にある電波望遠鏡ORT(図2)との、電波天体3C454.3(77億光年彼方にある活動銀河核)に対する324MHzでの長基線電波干渉計(VLBI)計測に成功しました(両局の計測信号間の有意な相関を確認)。この計測は、本学、国立天文台、宇宙航空研究開発機構、東北工大、山口大の合同チームとインド国立電波天文センター(NCRA)との低周波電波での国際共同研究として、昨秋から行なわれてきたものです。
本学で行ってきている惑星磁気圏や太陽コロナ大気から放射される数10~数100MHz帯の低周波電波は、天体で発生するエネルギー開放現象の観測研究に適しており、私達は近未来の研究計画として遠方の太陽系外惑星の研究を目指しています。天文研究分野でも、低周波数帯電波は大きなドップラーシフトが起こる超遠方天体の水素輝線の観測等から宇宙の歴史を探る情報源として今後の観測研究への貢献に大きな期待が寄せられており、世界各地でSKA(Square Kilometer Array)等の超大型電波観測施設の開発が進んでいます。VLBIは遠方の電波源の様相を探る優れたツールとして知られ、本低周波国際共同研究は、これらの超大型観測施設と組み合わせた近未来のVLBI観測展開を目指して行っているものです。今回のVLBI観測成功により、この研究進展のための第一歩を踏み出しました。
高周波に較べて低周波では天体から到来する電波が通過する地球電離層等の伝搬路での遅延や散乱が大きく、このことが低周波VLBI観測で得られる情報に制約を与えることになります。実際、これらがどの程度であり、どのように制約を緩和して有意な情報を取り出し得るのか、追加計測による基礎データの積み上げとそれらに基づく評価・考察により回答してゆくことが次のステップになります。更にその先にある科学課題探求に向け、今後も研究を推進してゆきます。 (文責:三澤・土屋)

