ローマ出張:欧火星探査機ExoMars Trace Gas Orbiterの NOMAD チーム会合 (文責:笠羽)

2018年春から本格観測に入った欧火星探査機ExoMars Trace Gas Orbiter。
火星大気の組成を過去最高の精度で調査し、大気活動の全貌と地殻活動(や生命
活動?)の痕跡を大気化学の面から掌握することを目指す、野心的な探査機で
す。2020年に打ち上げられる着陸機とペアで、火星における欧の
「Astrobilogy」的研究の柱として位置づけられています。
(Missionの紹介 @ ESA:
http://exploration.esa.int/mars/46048-programme-overview/ )

この探査機の主力機器の1つ「NOMAD」(赤外線・紫外線分光器)は、ベルギー
を中核として開発されました。うちの出身である青木君が、ベルギー・IASB側の
コアメンバーの一人としても活躍中です。
(装置の紹介 @ IASB: http://mars.aeronomie.be/en/exomars/nomad.htm) 
日Nozomi – 欧Mars Expressの関係から始まったこれまでの共同研究の履歴から
私も共同研究者の一人となっており、2017-8年度には日本-ベルギー共同研究
「火星-金星大気研究」を実施してきました。
この総まとめの1つを兼ね、1/26-28にローマ郊外のイタリア宇宙機関 ASI
(Agenzia Spaziale Italiana) で開かれた「NOMAD チーム会合」に、NICTの黒田
さんと共に参加してきました。
(会合のlink: https://t.co/3nP67OT2l4 — イタリア語です。)



この写真の数km先に、Appia Antica、すなわり、いにしえのローマ街道がありま
す。すぐに野山がジャングルと化す日本から来ると、一見「放っておかれた造成
地」にしか見えない。少なくとも、この10年ぐらい同じ風景に見えます。
なのでその200倍ぐらいはここまんまでもいられたのかも。流石に、木は切られ
たのだろうが。。。

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この180度後ろに、「イタリア宇宙機関」ASIがあります。冬のイタリアは天
気悪く、この写真を撮った最終日だけ晴れました。ここは第2ローマ大学?の端
にあたります。

この会合は「ExoMars周回機の1搭載機器」のものなのですが、それでこの人数
が参集しています。加えてTV会議参加の人もおりました。
青木君は元気に「火星の水と重水素/水素比」、特に昨年夏に起きた火星ダスト
ストーム時におけるこの大変動の紹介を行っていました。
こちらも、うちのハレアカラ60cm望遠鏡で捉えたより高高度のCO2発光量の増大
(惑星大気の中川さん成果)、また過去火星の大気環境再現を含むモデル研究の
現状の紹介を行ってきました。

帰途のアリタリア機内で、ASI宣伝ムービーが結構見られることに気が付きまし
た。Mars Express やExoMars、すなわちこの会合の主役のみなさんも登場。

なお、まだ確定ではありませんが、2020春、桜の季節に、この会合を仙台で開く
かもしれません。