土星をテーマにした研究紹介
土星（どせい、英: Saturn）は、太陽系の中では木星に次いで2番目に大きな巨大ガス惑星です。木星に負けず劣らずユニークな磁気圏をもち、多数の衛星が土星の周りを公転しています。衛星の一つエンケラドスは近いに内部海をもち、その南極から宇宙に向けて水が噴出しています。土星で最大の衛星タイタンにはその表層にエタンやメタンの液体の海があり、窒素からなる濃い大気を持っています。私たちは、土星の衛星でも宇宙と大気の関係に注目して研究を進めています。
本研究では、惑星から放射される電波が衛星の電離圏（電気を帯びた大気層）を通過する際に起こる屈折現象に注目し、その“曲がり方”から電子密度を導く手法を開発しています。
従来の観測手法では測定範囲に限りがありました。そこで、外惑星からの電波が衛星の電離圏を通る経路をコンピュータで再現し、電子密度を逆算する新しい方法を提案しました。
現在はこの手法を応用して、Cassini探査機のデータからタイタン電離圏の電子密度分布を導出しています。さらに、将来のJUICEミッションに向け、電波の偏波（回転の向き）を活用し、精度向上を目指した検討も行っています。文責：安田陸人
