研究プロジェクト
LAMP2
観測ロケット「LAMP2」:私たちは、オーロラ発光を宇宙の地上の両面から観測し、人工衛星や地上レーダーと組み合わせて、総合的な理解を進めています。
とある種類のオーロラでは、とても高いエネルギーの電子が降下し、中層大気に影響を与えうるため注目されています。私たちは、2022年にLAMPロケットを打上げ、世界で初めてこの観測に成功しました。これに続くLAMP-2ロケット計画が進行中です。
一方、太陽風の影響を直接受ける高緯度極冠域は、宇宙天気の観点から注目が集まっています。私達は10台の全天カメラを開発し、南極大陸上を広くカバーする観測ネットワークを構築しました。
オーロラの種類の一つに「脈動オーロラ」と呼ばれる明滅するオーロラがあります。近年、「脈動オーロラ」が起きるときに「キラー電子」と呼ばれる、エネルギーが数百キロ電子ボルト以上の超高エネルギー電子も同時に降ってきている仮説が示されました。この「キラー電子」は、低い高度数十 kmの中層大気まで入り込み、その場所のオゾンを破壊する可能性があります。
私たちは、2015 年からアメリカの研究者と議論を重ね、LAMPロケット実験の提案をNASAに行い、採択されました。PPARCは搭載カメラ2台の開発を担当しました。ロケットは、アラスカ州のポーカーフラットから2022 年3 月 5 に、大きなオーロラ爆発の直後に発生した「脈動オーロラ」に突入して観測することに成功しました。この観測により世界で初めて「キラー電子」とオーロラ発光の一対一対応が明らかになりました。
この成果を受けて、現在私たちは次のLAMP-2ロケットの準備を進めています。LAMP-2ロケットでは、地上レーダーや光学観測との連携の強化が計画されています。