オーロラ (プロジェクト)
LAMP-2 ロケット計画による脈動オーロラと中層大気の観測 オーロラの種類の一つに「脈動オーロラ」と呼ばれる明滅するオーロラがあります。近年、「脈動オーロラ」が起きるときに「キラー電子」と呼ばれる、エネルギーが数百キロ電子ボルト以上の超高エネルギー電子も同時に降ってきている仮説が示されました。この「キラー電子」は、低い高度数十 kmの中層大気まで入り込み、その場所のオゾンを破壊する可能性があります。 私たちは、2015 年からアメリカの研究者と議論を重ね、LAMPロケット実験の提案をNASAに行い、採択されました。PPARCは搭載カメラ2台の開発を担当しました。ロケットは、アラスカ州のポーカーフラットから2022 年3 月 5 に、大きなオーロラ爆発の直後に発生した「脈動オーロラ」に突入して観測することに成功しました。この観測により世界で初めて「キラー電子」とオーロラ発光の一対一対応が明らかになりました。 この成果を受けて、現在私たちは次のLAMP-2ロケットの準備を進めています。LAMP-2ロケットでは、地上レーダーや光学観測との連携の強化が計画されています。
地上からの全天カメラによる多波長観測は、オーロラの形態などを知るために重要です。極地研究所は第X期重点研究(オーロラXプロジェクト:2022~27年度)を進めています。極冠地域では太陽風と大気の直接的な相互作用が起こり、数百eV(太陽風)からMeV(SEP)までの広範なエネルギー範囲で電子とイオンの降下が発生します。 私たちは、このプロジェクトのための全天カメラを開発しました。2023年から昭和基地で4台、2025年からオーストラリアのケーシー基地とディビス基地でそれぞれ2台、フランス・イタリアのデュモン・デュルヴィル基地とコンコルディア基地でそれぞれ2台の計10台の全天カメラ観測が開始されています。 さらに、2024年から北極ノルウェーで4台のカメラの観測が、福島・飯舘観測所でも低緯度オーロラのための全天カメラ観測が開始されました。これらの総合観測から、オーロラ現象の解明を進めています。
OCTAVES (Observation of CondiTion of Ionized Atmosphere by VLF Experiment)は、電離圏下部の電子密度変動を検出するVLF/LF電離層観測ネットワークです。現在、北欧2箇所、北米3箇所、日本国内2箇所、東南アジア3箇所の計10箇所で観測を実施しています。 低周波(LF)や超低周波(VLF)の電波は、地表と電離圏下端(約70-90km)の間を長距離伝搬します。電離圏下端の電子密度が変化すると受信信号の振幅や位相が変化するため、LF/VLF帯電波観測は地球の下部電離圏の電子密度変化を引き起こす現象を捉える「検出器」と見立てて、次のような科学的観測を行うことができます。 (1)放射線帯から地球大気への高エネルギー粒子の降下現象、(2)中層・上層大気への雷の影響、(3)地球大気への太陽X線フレアや太陽プロトン現象の影響、(4)日食や、下層大気から伝搬する大気重力波・音波の下部電離層への影響、(5)ガンマ線バーストの検出。 ネットワークや研究成果の詳細情報はこちら >> ( https://pparc.gp.tohoku.ac...