水星探査機BepiColombo、順調に飛翔中 2019秋
日欧合同水星探査 Bepiくん、打ち上げから1年を経て、順調に飛翔中です。
打ち上げ射場のあるKourou(フランス領ギアナ)では、Ariane Spaceから「忙しいよ・場所がないよ」ということで「探査機チームのパーティーは無し」でした。このプロジェクトが成立する前、20世紀末からずっと関わってきた人たちも含め、全体のパーティーは必須です。
この公式セレモニーとして、10/14(月)-18(金)、オランダ・ライデン近郊にある欧州宇宙機関・宇宙技術センター(European Space Technology Center, ESTEC)で、祝賀会を含む「全体サイエンスWorking Team会議」が開催されました。
ちなみに、この直前の土日は台風19号に見舞われ、私達PPARCでも飯館観測所(飯館村の北西端近くにあります)へ続く林道が被害を蒙りました(https://pparc.gp.tohoku.ac.jp/ourlab/2019/10/19.html)。
私は日曜出国予定だったのですが。「台風一過になりそうだが・・・仙台から成田空港まで 日曜朝に移動できる保証がないぞ・・・」と思い、KLMからのお知らせもあり土曜朝便に変更。ところが金曜になり「ANA・JALは全便欠航」のニュース。KLMは何も言ってこないが・・・と不安を感じつつ深夜に成田まで。その間も「土曜は10時以降、成田近郊のJRは全停止」といったニュースが入ってきます。私の乗る飛行機は、金深夜にアムステルダムを出たことは確認。
「降りられるなら飛ばすということか? 飛ばない場合、10時前に解放いただけないと空港ロビー泊になるぞ・・・」と思いつつ、早朝にへ。結果的に、あっさり「飛びました。飛んでしまえば空は安定でしたが・・・(その後の大変な状況は、アムステルダムを降りるまでわからず。)
出発直前のKLM便 @ 成田空港 10/12(土)朝。実に閑散としていました。
土曜に着いてしまい、1日空いてしまったため、ベルギー・リエージュ大に先日移ったばかりの青木くん(東北大・惑星大気物理のOB)の来訪も受けていろいろ議論・相談事もこなしつつ、シーボルトの博物館を初めてふらっと眺めたりという、割と有益な時間を使うことができました。
シーボルトの旧宅そのものが、彼がお持ち帰りになった江戸時代後期の武具・動植物標本や医学資料・美術品・・・に溢れた、小さいよい博物館でした。
なお雑誌は江戸時代のものではありません。(オランダ語「日本アニメの月刊誌」。よく月刊で出せるな・・・・)
本業であるサイエンスチーム会合は、この春に東京スカイツリーを会場に行われたサイエンス会合以来です。これまで初期試験などで忙しかったみなさまが集合し、その一段落をお祝いする会でもありました。私が責任者を務める Plasma Wave Investigation(PWI: 木星探査機JUICEのRPWIチームとかなり被ったメンバー構成です)も順調に「打ち上げ後の予定手順」をすべて終了しました。
写真は、日欧メンバーを前に講演する相澤さん(同じく東北大・惑星大気物理のOG)。この4月から仏ツールーズで活躍中です。写真では小さいですが、以下略。
会場で全体写真を取ることもこうした会議では重要。水星の到着予定は2025年。それまでにはまだまだ時間がかかります。発足からすでに20年近くなるPWIチームでもすでに何人もの方々がこの世を去られています。金星・火星というお隣とは違い、より遠くへ行く惑星探査機にとってこの「人間にとっての時間の壁」の克服はとても重要な課題なのですが・・・みなさま、よく寝て、よく食べ、よく遊び、そして健康を大切に。これまで関わってきた&現在関わっている人は、この何倍にもなります(PWIチームですと、来ていないメンバーが10倍はおりますし。)
この会合を経て、BepiColomboは、来年4月の地球Flybyに向けて準備に入りました。続報はまたその折に。
https://www.cosmos.esa.int/web/bepicolombo-flyby [実際のフライバイ日付は、ここからまだ動く予定です。]
(文責:笠羽)