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太陽系を構成する太陽と惑星は、日々変動しています。惑星の中でも特に大きな変化を見せるのが、惑星の周りある大気とその周りの宇宙空間で、惑星本体と合わせて「惑星圏」と呼んでいます。惑星の大気とその周りの宇宙空間は、惑星本体に比べ圧倒的に質量が小さく希薄な領域です。しかし、「海と生命で満ち溢れる地球」が、わずかな大気しか持たない火星や過剰な大気を持つ金星と決定的に違うのは、この領域にこそその理由があるわけです。
太陽からは超音速のプラズマ(電気を帯びたガス)からなる太陽風が惑星に吹き付けています。惑星の大気では、太陽放射をエネルギー源とする気象現象や光化学過程が生まれ、また火山・地下変動によっても大気の組成変動が起きます。大気と宇宙空間の狭間に位置し、人工衛星も飛び交う超高層大気の中では、激しいオーロラ・磁気圏活動が繰り広げられ、これによって大気の宇宙流出も起きています。この日々変貌する「惑星圏」が、私達PPARCの研究対象です。
PPARCは、太陽系からの微弱な信号を、福島県飯館観測所の口径30m級電波望遠鏡IPRTと、飯館観測所と宮城県内の観測所に展開するHF帯電波望遠鏡を用いて観測しています。ハワイのマウイ島・ハレアカラ山頂には、60cm光学赤外線望遠鏡(T60)を設置し、惑星・衛星・微小天体群が放つ赤外線・可視光を観測し続けています。北極圏・南極圏を中心に展開するオーロラカメラをはじめとする観測システムを含め、地球を含む太陽系の天体へいつでも向けられる専用の地上観測手段と、私たち自身が開発した観測装置も時に搭載する日本と世界の衛星・探査機とを噛み合わせることで、太陽系の天体の変動と進化を探求していきます。東北大の同僚、日本国内の仲間たち、そして世界のトップクラスの研究者らとともに。
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