飯舘惑星電波望遠鏡で長基線電波干渉計実験に成功
東北大学の飯舘惑星電波望遠鏡IPRTと名古屋大学宇宙地球環境研究所の太陽風観測用電波望遠鏡を使った325MHzでのクエーサ(3C48)の長基線電波干渉計(VLBI)に成功しました。
観測を主導したのは情報通信研究機構の岳藤さんです。岳藤さんによる詳しい観測報告はhttp://www2.nict.go.jp/sts/stmg/vlbinews/news137.pdf
をご覧ください。
飯舘惑星電波望遠鏡は太陽系の惑星(木星)と太陽電波の観測のために開発された電波望遠鏡で、これまで単独で観測を行ってきましたが、今回の実験で干渉計観測を行う基礎技術が確立されました。
低い周波数の電波は天体の高エネルギー粒子が放射する電磁波の観測に適しており、木星磁気圏や太陽コロナなど、宇宙空間で発生している高エネルギー粒子の加速現象の研究を行うことができます。更に、宇宙空間を伝搬する間に受ける散乱や伝搬遅延の影響は、低周波の電波ほど大きいので、電波の伝搬途中の宇宙空間の情報を得るのに適しています。日本国内には1GHz以下の周波数で観測を行うことができる電波望遠鏡は少なく、IPRTはとてもユニークな電波望遠鏡です。今後の低周波の利点を生かしてユニークな観測を進めます。(土屋史紀)