欧惑星科学会議 EPSC2024 @ ベルリン (2024/9/9-13)

この一月ほど、以下でてんやわんやでした。

* 木星・氷衛星探査機JUICEの月・地球フライバイ (8/19-23)
* 水星探査機BepiColomboの水星第4回フライバイ (9/4-5) および 水星到着の1年延期

一山越えたところで飛行機に乗り、ベルリン開催の欧惑星科学会議 European Planetary Science Congress 2024 へ。
着いた日は 30 degC 越えで「もわっ」としていましたが、あっというまに 10 degC 台に。

会場は「ベルリン自由大学」。昔アインシュタインがいたベルリン大学につながります(間に二次大戦とドイツ東西分裂が絡んで、歴史は複雑)。
まだ夏休みで再開は10月からのようで、ドイツの大学見物を兼ねるつもりが、学生はほぼおらず。カフェテリアや売店も閉まっていたのが残念。
写真左上は「SHOKUDO」という和風カフェテリアで、うどんとかがメニューであるらしいですがチャレンジできず。

写真左下はEPSC参加名札。欧のサイエンス会合への参加はコロナ明け初で、実に久々です。
初日から太陽系諸惑星話を久々に聞いて回っていましたが、自分の主用事が「最後の2日間に集中」という日程だったのでなかなか落ち着かず。
その本命仕事は3つ。JUICE & BepiCoombo双方にいるうちのチームの欧州メンバーとの漫談議論も兼ねてやってきましたので。

* JUICEの月・地球フライバイデータを検討。打ち上げ後初の「惑星への接近」で、月・地球のいろいろなデータで、装置がちゃんと動くことを初めて検証できて、なによりほっとしています。
東南アジア上空を通過した地球フライバイ時には地上の放送・通信電波も結構受かって、「ここには文明が存在する!」という他惑星ではない”成果”を見ました。
作業は未だ進行中。10月にフランス・オルレアンであるRPWIチーム会合で、突っ込んだ話をする予定です。。

* 欧宇宙機関ESAの「BepiColomboプレス会合」に、探査機 Mio を代表して説明側で参加。
たまたま枢要メンバーからの参加が私しかいなかったため舞い込んだお仕事ですが、Bepiくん @ JAXAを代表する形で話をすることに。タイトルは写真:右上。
Mioくんはサンシールドの後ろ側にいるのでまだフルスペックな観測ではないですが、先行の米MESSENGER探査機にはない装置を抱えているので、Mioのフライバイ観測で新たにみえてきた「とても非対称な磁気圏の姿」を、水星本体を含めた欧メンバー説明とともに和気あいあいと紹介。
到着が1年遅れになるのは、データを待っている院生諸氏のがっかりポイントです・・・・が、探査機そのものは健全。1年遅れで楽しみを待つことにしています。

* 水星探査機 Mio の一翼を担ううちの Plasma Wave Investigation 初期成果まとめを招待講演で(写真右下)。
水星の電磁波動観測は史上初 で、プレス向け説明でも行った「地球とは一味違う”とても非対称”な姿」は本物か?、という話を軸に。
明確な結論は、2026年末の軌道投入後の本格観測待ちです。乞うご期待。

ちなみに、ベルリンが大きな街になったのは、プロイセンが首都をブランデンブルグから移した15世紀からのようで、江戸や仙台と似たような歴史の長さ。
とはいえ、なかなかにその歴史は重たい。
泊まった宿はベルリンの壁から歩いてすぐの場所で、隣のブロックが散歩ついでにグーグルマップでみたらSS本部跡。
会場に通う電車S-Bhunの行き先「Wansee」が、なにか聞いたことがある地名だな、と思ったところが(知る人ぞ知る)「ヴァンゼー会議」の会場最寄り。
・・・・という調子で、Berlinに住むとなったらなかなかメンタルに来るものがあるな・・・とも思った出張でした。

(文責:笠羽)