PPARCセミナー(2023/04/16)
PPARCセミナー 2023/4/16
発表者:安田陸人(D1)
タイトル:Numerical radar simulation for the explorations of the ionosphere at Jupiter’s icy moons “木星氷衛星探査に向けたパッシブレーダーの数値シミュレーショ
アブスト:木星の氷の衛星であるガニメデ、カリスト、エウロパには、地下に液体の水の海が存在する可能性がある。現在の太陽系で表面に海があるのは地球だけだが、複数の氷天体において氷の地殻の下の地下に海があると考えられている。よって、氷天体は地球型天体よりも普遍的な居住可能な環境である可能性がある。氷衛星の電離圏は、外部からのエネルギー供給と内部の海洋・地殻活動の結果として形成されるため、ハビタブル環境を理解する上で不可欠な情報を含んでいます。しかしながら、従来の電波掩蔽法やアッパーハイブリッド共鳴を用いた観測方法では、観測可能な空間範囲が限定されるという問題点があり、その構造はまだ明らかになっていない。そこで、我々はこれらの問題を克服するために、木星電波を用いた新しいレーダー探査法の開発を進めてた。本研究の目的は、木星の各氷衛星における電離圏電子密度分布とその生成過程を調べることである。
私はまず、木星電波の衛星周辺での伝搬を再現する数値シミュレーションを開発した。これにより、木星電波のフライバイ時の観測結果を用いて密度分布を推定することが可能となった。このツールを用い、ガリレオPWSの観測データを用いて電子密度を導出し、電離層の生成過程を調べた。
その結果、ガリレオ・ガニメデ01のフライバイ時のガニメデの電離層の最大電子密度は、閉磁力線・低緯度領域で約25〜100cm-3、開磁力線・高緯度領域で100〜250cm-3であることがわかった。この2つの領域の違いは、Liuzzoら(2020)やPoppeら(2018)が推定されているような、ガニメデへの不均一な荷電粒子流入の様子を反映していると考えられる。カリストの場合、Galileo Callisto 09と30のフライバイ時において、昼側で約2,100cm-3、夜側で25 – 700cm-3であることが明らかとなった。昼側と夜側の差は、Vorburgerら(2015)が示唆した昇華の影響を反映していると考えられる。このように、本手法によって得られた新たな観測結果を加えることで、ガニメデとカリストの電離層の生成過程の違いを明らかにした。
将来研究としては、先行研究で提唱されている氷衛星の3次元大気モデルの検証・電離圏生成過程の更なる解明を目指し、3次元空間における木星電波の屈折を再現する機能を実装する。また、氷の月での反射・透過を再現できようように発展させ、氷の地殻とその下の海のパッシブレーダー観測の実現可能性を検討する予定である。
これらの新しいシミュレーションを、木星探査機JUICEに搭載された電波・プラズマ波動観測装置(RPWI)のデータに適用することで、氷衛星のエネルギー供給システムと活動度が明らかになり、氷衛星における生命存在可能性をより深く議論するための情報を提供することができる。
発表者:三澤浩昭
タイトル:Relationship between transient brightening of Io plasma torus and Jupiter’s auroral radio emission
アブスト:In the continuous monitoring for the UV emissions of Io plasma torus (IPT) around Jupiter’s opposition in 2015, the HISAKI space telescope satellite caught interesting sudden emission enhancement started in the middle of Jan. and lasted for more than two months. This phenomenon has given important clues to investigate its variation morphology and control parameters of magnetosphere’s variations (ex. Yoshikawa+, 2016; Yoshioka+, 2018). We also analyzed variation characteristics of Jupiter’s auroral radio emissions in the hectometer wave length (HOM) for the period and found that HOM activity increased after the Iogenic plasma enhancement with some intermittent (quasi-periodic like) nature.
Recently, Furukawa-san found transient & localized IPT brightening phenomena and investigated origin of the phenomena by analyzing relationship between the phenomena and Jupiter’s radio wave data using the JUNO/WAV data (Furukawa+, in prep.). He confirmed positive correlation between the occurrences of them for two events among 26 IPT events occurred in 2014-2017, but the origin of remaining events is not confirmed due to the pre-observation period of JUNO for Jupiter. For compensating the lack of information, we have tried to analyze the other radio wave data measured by WIND/WAVES in HOM. In this seminar, we will introduce preliminary results of this trial with brief introduction of known nature of HOM.