カナダとアラスカで宇宙からの高エネルギー電子を測る (2019/8/25-9/7)

(文責・平井、土屋)
アラスカやカナダに行くとオーロラを見ることができますが、宇宙から地球の大気に降り込んでくる超高エネルギー電子を観測するのにも最適の地です。大気に降込む超高エネルギー電子はオーロラのように目で見ることはできません。その代わりに、地表から標高60km-90kmの地球の大気を電離させるので、電離層を反射する低周波電波を使うと観測することができます。

8月25日~9月7日に土屋と平井で、カナダとアラスカに行きました。目的は、低周波電波受信機とアンテナの設置及びメンテナンスです。

前半の1週間の行き先は、装置の新規設置のため、カナダのマニトバ州にあるピナワです。ピナワには、カナダ宇宙庁が運用・管理している地上観測サイトがあり、すでに磁力計やリオメーターが設置されています。設置作業は、現地のエンジニアの方に協力していただき、予定通りの日程で設置することができました。設置後、データを取得できていることを確認し、ピナワでの任務は無事終了しました。今回初めてゼロから装置の設置を経験しました。ピナワで得られたデータで新しい発見を目指します!

後半はアラスカに移動しました。アラスカのフェアバンクスには、既に電波受信機やアンテナが設置されています。当初は、観測ソフトウェアの更新と校正作業のみを行う予定でしたが、行ってみるとアンテナを支えるロープが切れて、アンテナが傾いていました!予定を急きょ変更して屋外でのアンテナ修理作業からはじめ、予定していた作業をすべて日程内に終えることができました。

今回の出張では、アラスカに到着した日の夜にオーロラを見ることができました。今回見られたオーロラは、あまり激しいものではなかったので、ぜひ次機会があればブレークアップを見たいです。(オーロラの写真はぼやけてしまったので、今回は載せないことにしておきます…。)



ピナワの観測サイト。まだなにもありません。作業中の土屋とエンジニアのBrendanさん。


設置完了したループアンテナ。


普段の研究で使用しているデータを取得している誘導磁力計を見せてもらいました。


中にコイルが入っています。ファラデーの法則(コイルを貫く磁界が変化すると起電力が発生する)に従って、地磁気変化を計測しています。


アラスカのモノポールアンテナ(修理後)。柵を新設。


アラスカは紅葉の季節でした。とってもきれい!