欧木星探査機JUICE RPWI HF (高周波レシーバ) 最終の欧州出荷 (2020/11/27)

(記: 笠羽)
欧木星探査機JUICEに搭載される、我々 RPWI (Radio & Plasma Wave Investigation) の高周波ユニット HF (High Frequency Reciever)。10年以上、日欧を往復しながら、明星電気のみなさんや国内・欧州研究者とともに苦労して開発してきたものです。

その 最後のハードウェア「Flight Spare」が、11/13(金)に日本を出発、Sweden Uppsalaに11/17(火)に到着。
見出し写真は、(左) その到着後の姿と (右) 輸送途上の温度・湿度・加速度の記録。
飛行機の着陸衝撃(20 Grms!)も乗り越え、先方に依頼した性能確認によって「出荷前のデータと同じ。問題無し!」であることの確認を取ることができました。やれやれ。

これらも踏まえた日本側での「出荷確認会」は、JAXA 高島教授、向井名誉教授、京大 小嶋教授、元明星 佐藤さま、というこれまた我々が長いこと各種ミッションでお世話になってきた「目利き」の皆さんを遠隔会議方式でお招きして、11/24(火)に開催。無事終了!ということになりました。

これで、我々の開発してきたハードウェアは、晴れてすべて欧側ユニットと合流することになりました。
本来このユニットは「スペア品」すなわち予備機の想定だったのですが、各種試験を経た上でSystemに引き渡された後には、この「一番最後に作った最も質の高いハードウェア」が最終的には宇宙の深淵へ出ていくこととなっています。

打ち上げ予定は、(全体試験スケジュールが遅れなければですが)2022年6月、あと1.5年。ずっと未来のことだと感じていたその日は、いつの間にか、現実的な近さとなってきました。
コロナ禍で手が届かない場所となっている欧州。そこで進む今後の試験の進行は、ZOOMやwebexといった手段で見物しつつ、送られてくるデータを検証して「OK!」と返事を返す、というプロセスで進むことになります。
我々が送り出した機器の「無事の旅」を祈ります。