2017年9月19日

宮城のテレビ放送3社が11年ぶりの巨大太陽フレアを報道

9月6日夜、11年ぶりの巨大太陽フレアが発生しました。日本が夜だったこともあり、デリンジャー現象は観測されませんでしたが、このフレアに伴って放出されたコロナガスが8日の朝に地球を襲いました。

仙台市のテレビ放送の各社は、コロナガスの影響を報道すべく、私の部屋に取材に訪れました。今回のような場合、既に、日本は日照領域になっていますので、電離層の電子密度が急増し、GPS信号に誤差が生じます。また、夕方からは、通信に障害が発生する場合が多いです。以上の内容をテレビでコメントしましたが、その後の情報によりますと、GPSの位置情報の誤差は16メートルに達しました。

太陽の影響で、地球周辺の宇宙空間が影響を受けることがあります。人工衛星や国際宇宙ステーションは、太陽の活動を非常に気にしながら、飛翔しています。地上の天気になずらえて、宇宙天気と呼んでいますが、太陽や地球の嵐を予報するのが、宇宙天気予報です。

私は、2010年から2013年にかけて、宇宙天気の国際委員会(国連宇宙天気専門家会合)の共同議長として、宇宙天気に関するガイドラインを世界の27カ国の代表と共に、まとめました。公表されたガイドラインは、世界の宇宙機関に伝えられ、日々の宇宙活動や、世界規模の無線通信業務に反映されています。

太陽と地球の関係を調べる宇宙天気研究ですが、研究の成果は宇宙開発の現場で役立っているのです。(小原隆博)

 

[BACK TO TOP]

2017年9月 7日

仙台市天文台で公開サイエンス講座「巨大惑星をめぐる旅」が開催されました

 7月1日に東北大学大学院理学研究科は仙台市天文台と連携協力協定を結び、今年度は天文台で4回の公開サイエンス講座を行うことになりましたが、そのトップバッターとして、8月19日午後に「巨大惑星をめぐる旅 ―地球物理学専攻・地学専攻編―」が開催されました。この講座では、私達地球物理学専攻C領域と、地学専攻初期太陽系進化学研究室のメンバーがアイディアを出し合い、天文台企画交流課と相談を重ね、諸惑星・衛星の特徴や諸現象、また、それらの探査等について、知って頂く(ミニ講演・惑星はかせ)・観て頂く(オーロラVR・隕石/小惑星サンプル)・体験して頂く(電波星/赤外線星探索、惑星探査機折り紙/ラジオ工作)各種企画を行いました。

 当日は生憎の雨模様、また、学校の夏休み終了直前で、どの位の方に参加頂けるか些か心配しましたが、それは杞憂に過ぎず、子供さんからシニアの方まで幅広い年齢に渡る400名余りの方にご来場頂きました。天文台でのイベントということで、参加された方の宇宙・惑星に向けた関心の高さも他のサイエンス・イベント以上に感じられ、伝え手の私達も嬉しく楽しい時間を過ごさせて頂きました(私個人としては反省点もあり、少なからずおられた小さい子供さんにも伝わる話の工夫、が次の公開講座に向けた課題となりましたが)。

本公開講座の第2回は、9月19日開催の「星はすばる、銀河はすばる―天文学専攻編」です。今後も多くの皆様のご来訪をお待ちしています。

(文責:三澤)

 1)惑星探査機折り紙に挑戦

 2)作製したラジオで電波星を探索

 3)隕石を偏光顕微鏡で観察

 4)ミニ講演会(講師:北 元 博士)

(写真提供:村田 功 先生)

[BACK TO TOP]

2017年8月21日

国連主催・国際宇宙天気会議に出席

2年毎に行われている国連宇宙空間平和利用委員会(UNCOPUOS)傘下の、国際宇宙天気会議(ISWI)に参加した。会議は7月31日から8月4日の1週間、米国ボストン市のボストンカレッジにて150名の参加者を得て開催された。夏とは言え、日中の最高気温が25度という涼しい環境で、朝から晩まで熱心な議論が続いた。前回は2015年3月、福岡県福岡市で、九州大学国際宇宙天気研究・教育センターのお世話により開催されたが、福岡で決議したResolutionを2年間にわたり実行した報告が、初日に、各国代表から述べられた。その後、2日目は、世界の宇宙天気予報機関・宇宙開発機関からの進捗状況が報告され、3日目以降は、宇宙天気研究(観測、モデル)について活発な議論が行われた。

 日本からは、宇宙天気予報を担当する情報通信研究機構(NICT)、宇宙環境観測を実施している宇宙航空研究開発機構(JAXA)、そして、九州大学国際宇宙天気研究・教育センターの面々が参加したが、私は、以前、国連宇宙天気専門家会合の共同議長を務めた経緯や、NICTとJAXAにて、宇宙天気プロジェクトを担当した事から、この会議には、連続して参加している。

 こうした会議では、世界の研究者仲間と会うことが楽しみの一つになっている。30年来の友人であるギリシャのダグリスさんは、相模原のJAXA宇宙科学研究所で初めて会ったが、現在、この分野においてヨーロッパのリーダである。米国の懐かしい友人達とも、久しぶりに会い、ある日の夕食をチャールズリバーの川岸で共にした。ボストンは、私にとって4回目の訪問であるが、米国の古都の雰囲気を漂わせる趣き深い街である。次回の再開を約束して、8月5日にマサチューセッツ州の州都ボストンを後に、日本に向かった。

(小原 隆博)

(左上)会議が行われたBostonカレッジ:
(右上)レセプションで挨拶をするナット議長:
(左下)会議場の様子:
(右下)アテネ大学のダグリス教授(右)と久しぶりに再会

[BACK TO TOP]

2017年8月 21日

オープンキャンパス2017

今年も7月25日、26日の2日間、東北大学のオープンキャンパスが行われました。 我々PPARCも、C領域の3研究室 合同で宇宙地球物理学科・地球物理学コースのブース (理学部合同C棟2階 青葉サイエンスホール)において、 大学院生や教員による日頃の研究の説明や体験コーナーを設けたり、 加藤雄人先生による体験授業を行ったりしました。 大学進学を控えた近隣の高校生だけでなく、研究室配属を控えた学部生や家族連れ、 また遠く北海道や関東地方以遠からも沢山の方々に足を運んで頂き、大変ありがとうございました。

2018年度のオープンキャンパスは7/31-8/1の予定です。 来年も沢山の方々にご来訪いただけるようしっかり準備していきたいと思います。 (鍵谷)

[BACK TO TOP]

2017年7月 5日

MOP2017 conference

6月12~16日にスウェーデンのウプサラ大学でMOP2017(Magnetospheres of the Outer Planets 2017)会議が開催されました。この会議は、Pioneer探査機が初の木星探査を行った1974年にその前身となる会議が行われ、それ以来数年に一度の頻度で欧米各地で開催され、今回で19回目を迎えた歴史のある国際会議です。この会議では、その名の通り、巨大惑星やそれらの衛星の超高層、電磁圏環境やその変動現象に関する最新の研究内容が紹介されます。今回は、2004年から土星を周回しながら探査を行ってきたCassiniが今年9月に探査の最期を迎える"Grand Finale"に向かいつつあり、大きな関心の下、研究集約が進んでいること、また、昨年9月に周回軌道投入に成功し2機目の木星探査機となったJunoの初期観測結果が公表された時期でもあることから、従来に増して多くの研究者が参加し、活発な講演・議論がなされました(講演件数:205件、前回会議より約1割増)。惑星プラズマ・大気研究センターからはスタッフ・院生を合わせて4名(地球物理学専攻C領域からは8名)が参加し、ハワイ観測所での光学観測や科学衛星HISAKI他の光学・電波観測に基づく木星衛星イオ起源プラズマの変動様相やその磁気圏への影響等について研究紹介を行うとともに、今後の共同研究等についての議論を行ってきました。

今回の会議での!なニュースとして「仙台が次々回の会議開催地に決定したこと」も挙げられます。実は仙台開催は2011年初夏に予定されていましたが、東日本大震災の勃発により開催を返上した経緯があります。震災後6年を経た現在の復興状況を会議参加者に理解頂き、2019年乃至2020年に改めて開催することになりました。MOP会議の日本での開催~欧米以外での開催~は初めてで、本領域の研究推進面は勿論、地上・科学衛星観測や探査機搭載機器開発等で行われてきている国際共同プロジェクトの推進に更に弾みがつくことを、また、日本の、関連領域の多くの研究者や若手・学生の方に本領域の研究を知って頂き、参画頂く好機となることを期待しています。私達C領域はホストとしての役割も担いますが、多くの皆様を改めて仙台にお迎え出来ること、一緒に会を催せることを今から楽しみにしています。(文責:三澤)

※MOP2017のホーム頁:https://www.irfu.se/mop2017/

図. MOP2017が開催されたウプサラ大学オングストローム研究所。ウプサラ市中心部から徒歩30分程の丘陵地にある、自然と融合した素晴らしい会場。



会議のシンボルキャラクター"MOP"(©Magnetospheres of Outer Planets 2015)

[BACK TO TOP]