2015年6月29日

ヘテロダイン分光器、金星観測に成功!

マウイ駐在の中川です。長年片目のままだった仙台だるまにようやく両目が揃いました。 2015年3月22日、晴れてお披露目に耐えうる金星データが赤外ヘテロダイン分光器によって得られました。 万歳。 苦節5年、色々ありましたが装置開発もようやく実を結びました。 ヘテロダインの装置論文もレビュー中です。 国内外たくさんの協力あっての装置開発でしたが、まずは観測に参加してもらった研究室の学生らに感謝です。(中川広務)

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2015年5月20日

マウイ島 ハワイ大学天文学研究施設を訪問

坂野井健です。5月12日から15日まで、ハワイのマウイ島にあるハワイ大学天文学研究施設に行ってきました。東北大学、ハワイ大学、ドイツのケーペンハウワー研究所等で進めている、PLANETS望遠鏡計画の研究打ち合わせのためです。

打ち合わせでは、PLANETS望遠鏡計画の現状と問題点、今後の課題と計画について話し合いました。また、宣伝用のWebを充実させるために、研究者に"PLANETS望遠鏡のウリ"についてインタビューを行い、そのビデオを収録しました。下の写真は、東北大を退職後、マウイ島に3年間滞在し、惑星研究を推進されてきた岡野先生。このあと、私も英語と日本語でインタビューしました。ハワイ大学の研究所の周りでは、ジャガランダの花が満開で、とても綺麗でした。

東北大学からは、中川助教が現在ここに約半年間の予定で滞在中です。火星大気など惑星大気の赤外高分散分光の装置開発と研究をしています。がんばってください。

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2014年6月28日

モントリオールの天文望遠鏡・装置学会に参加

6月22日から27日までカナダ・モントリオールで開催されているSPIE天文望遠鏡・装置学会に参加しています。 私は初めての参加ですが、普段聞けないような大型望遠鏡計画やユニークな装置の話を聞いて、とても刺激を受けています。

ハワイ大などのグループと、ハワイ・ハレアカラの望遠鏡のミーティング兼ディナーをしました。 昼休みは、天気が良ければ、すこし散歩します。モントリオールはとても美しい街です。 ここでいろいろ学んで、またたくさんの人とコミュニケーションをとって、今後の研究に生かしていきたいと思います。(坂野井健)

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2014年6月17日

東北大学望遠鏡ドームが完成

これまで数年にわたり計画され、今年から建築が進められてきた、東北大学望遠鏡用のドーム建物が、とうとうハワイ・ハレアカラ山頂に完成しました! ここは標高3000m、晴天率約8割の、天体観測には世界の最高の場所の一つです。今年の夏、ここに我々の望遠鏡が設置されます。このドームの建築には、鍵谷助教の活躍が欠かせませんでした。やっとここまで来た感もありますが、まだまだこれからが正念場ですので、がんばります(坂野井健)。

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2014年6月5日

火星探査機MAVEN会合に参加

2014年5月21-22日にパリ第6大学のLATMOSにて開催された、火星探査機MAVENのリモートセンシングチーム会合に参加しました。会場はパリ第6大学の管理棟の最上階(24階)でした。MAVENの火星軌道投入を間近に控え、MAVEN搭載の紫外観測機器(IUVS)が惑星間空間にて取得したデータをもとに、機器性能や較正方法やデータ処理方法などの議論が行われ、軌道投入後の光学観測データから科学成果を抽出する手順についても議論が行われました。光学観測データから科学成果を導き出すためには、火星大気・超高層大気モデルを用いた事前の入念な観測計画の立案・策定が必要であり、また、輝線の光量から大気組成の空間分布を得る際にも大気モデルと放射伝達コードを組み合わせて用いる必要があります。LATMOSが所有する火星大気・超高層大気モデルや放射伝達コード群はMAVEN/IUVSで中心的な役割を果たしています。私はMAVENのParticipating Scientistの副主任として本会合に参加しましたが、我々が所有する超高層大気モデルとLATMOSの放射伝達コードを用いた共同研究についても議論することができ、有意義な会合となりました。(寺田 直樹)

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2014年5月6日

ヘテロダイン at IRTF

NASAのTed, Tim, Johnと一緒にIRTFでヘテロダインを使って火星観測をしています. この時期の火星をIRTF/HIPWACでみるとMSLがいるGale Crater(100km)が分解できるので, クレーターの中や外の二酸化炭素同位体を測定して、その日変化(LT分布)などを調べています. 特に衝撃だったのは636の美しいスペクトル, 40分程度の積分で高高度のcoreと低高度のwingが明確にみてとれます. 同位体の高度分布が生データでみてとれるのです! これは凄い. ヘテロダインのポテンシャルの高さを感じました. 是非我々もトライしたい. 一方で, ヘテロダイン観測の大御所文句無しの世界トップチームが, 想像できなかったくらい苦労して観測していることには驚きました. 何十年もやっているからもっと苦無くやっているのかと思っていたら, かなりの頻度でアラインメントの調整をしたり, 様々なチェックを繰り返し, それでも尚トラブル多発で都度それを解決していきます. これはとても感慨深く, 7月から始まる自らの観測について考えさせられました. まだまだやることはたくさんありそうです. 但し, 天気は上々, 湿度も一桁, シーイングも非常にいいのでエアマス2.5までやる日もあります. 連日のハードスケジュールと高山病で疲労困憊ですが, バファリン最高です. 写真はTedがとってくれたMauna Kea West. (中川)

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2014年4月14日

パリ・LATMOS滞在記

2014年2月末から7月末の5ヶ月間、パリ第6大学にあるLATMOS(大気環境宇宙観測研究所)に滞在しています。頭脳循環プログラムによる長期海外派遣という非常に恵まれた機会を得て、火星超高層大気の研究の世界的権威であるFrancois Leblanc博士のグループと、モデル結合の共同研究を進めています。

まずはパリ第6大学についてですが、パリ第6大学はパリ中央の南東側(ノートルダム大聖堂やパンテオンの近く。ルーブル美術館も徒歩圏内)にあり、地下鉄7・10番線のJussieu駅を出てすぐ目の前にあります。

ここはいつ来ても工事をしています。パリ第6大学には、以前にも客員教授として呼んでいただいて1ヶ月間ほど構内のアパートに住んだことがあるのですが、工事のために迷路のように入り組んでいて、未だに思ったところに簡単に辿り着くことができません。そもそも正面玄関がどこにあるかもわからないので、LATMOSの人に聞いたところ、「この辺り」と写真左側の何もないところを指差されました。以前に訪れたLPP(プラズマ物理研究所)も玄関に看板がなかったのですが、このゆるい感じがフランスらしくていいですね。ちなみに、写真奥の立派な建物は事務・管理棟です。LATMOSは写真右側の建物の4階にあります。

次に共同研究を行っている方々についてです。

中央右から、Francois Leblanc博士、Ronan Modolo博士、Jean-Yves Chaufray博士です。Leblancさんはこのグループのリーダーで、研究職に就いている方です。火星や水星の外圏のモデリング以外にも、粒子計測器開発、衛星光学観測、地上光学観測など多岐にわたって活躍されています。Modoloさんは教育職の准教授で、年間200時間の講義をこなしながらも、火星・水星・ガニメデなどの電磁ハイブリッドシミュレーションで世界最先端の成果を出し続けています。Chaufrayさんはポスドクで、火星の外圏・電離圏のモデリングを行いつつ、衛星・地上光学観測データ解析においても複数の著名な成果を挙げています。彼ら3名は火星他の超高層大気分野で非常に有名な方々で、例えば米国の火星探査ミッションMAVENの会合に出ていると、至る所に彼らの名前が出てきます。

彼らと一緒に研究していると、彼らの研究成果だけでなく、その研究体制の作り方や、研究への姿勢などにも度々感銘を受けます。彼らの研究対象を並べると、一見節操無く何でもやっているように見えるかもしれません。ですが上述の研究対象は、全て彼らのグループが得意とする「スパッタリング」という物理過程を軸に展開されているものです。得意とする物理過程を軸にして、中性大気側とプラズマ側、シミュレーション側と観測側にそれぞれウィングを伸ばしているので、成果に掛け算効果が得られ、また互いの議論や情報交換が非常に有意義なものとなっています。

彼らの研究への姿勢も非常にストイックです。私がいだくフランス人のイメージは、以前は「おしゃべり第一」でした(失礼)。朝9時にミーティング開始と言ったら、9時10分頃にぼちぼちと集まってきて、そこからコーヒーを飲みながら会話を楽しんで、しゃべって、しゃべって、9時30分過ぎ頃に「じゃあ始めようか」と言って、そこからはミーティングでもしゃべり倒すというものでした(それはそれで楽しいですが)。ですが彼らは、私の期待を見事に裏切っています。彼らも例に漏れず話し好きなパリジャンなので、朝イチに会った時は楽しそうに話すのですが、そこからはもくもくと仕事を続けます(ちなみに半径1メートル以内に3人がパーティション無しで座るという超密集環境です)。昼もサンドイッチをかじりながら仕事を続け、休憩無しで夕方に突入します。夕方になるとさすがに疲れてきて、雑談を始めるのですが、その雑談の内容は火星かシミュレーションがほとんどです。研究が本当に好きなんだなあと感心すると同時に、火星好きでありシミュレーション好きである私は、同じ空間をシェアできる幸せを感じています。

一方で、彼らは社交的でもあり、国内外から来客が頻繁にあります(今も隣でアルゼンチンからの来客と議論しています)。ですが文章が長くなってきたので、これはまたの機会に書こうと思います。(寺田直樹)

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2014年3月11日

ヘテロダイン、セット完了

赤外ヘテロダイン分光器のセットアップが完了しました。性能試験のために実施した太陽観測や月観測の結果も性能十分、ハワイでの初スペクトルとなるオゾン吸収スペクトルも2014年3月11日に取得、美しいスペクトルがとれました。あとは7月のハレアカラ山頂での望遠鏡完成を待つのみです。岡野先生の着想から苦節30年、たくさんの人たちの絶え間ない努力の後に、いよいよ夢が実現するときがやってきました。(中川広務)

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2014年3月7日

ハワイ大でヘテロダインを紹介

ハワイ大IfA/ATRCに無事に移設が完了した赤外ヘテロダイン分光器について、研究所内メンバー向けにセミナ発表を行いました。超高分解能の分光能力を有する赤外ヘテロダイン分光器が狙うサイエンスとその性能、7月からのハレアカラ山頂での観測スケジュールなどについて紹介しました。Jeff Kuhn(写真右)やJoe Ritterらとの非常に興味深い議論の結果、新たに画期的な太陽黒点観測が計画に加わりました。(中川広務)

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2014年3月3日

マウイでヘテロダイン開始

研究室で開発を進めてきた赤外ヘテロダイン分光器をいよいよハワイ・マウイ島へ搬出しました。3月初旬、無事に到着し、ハワイ大IfA/ATRC実験室内でのセットアップが開始です。ハレアカラ山頂での観測もいよいよ目前です。(写真は、ハレアカラ山麓PPARC岡野教授宅からのマウイ島の眺め)(中川広務)

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