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2019年10月21日

世界最大のHF~VHF帯電波観測装置"NenuFAR"訪問

2019年9月19,20日に、フランスのパリ天文台が開発を進めている世界最大[1]のHF~VHF帯アレイ式電波観測装置"NenuFAR[2]"(nenufarは、スペイン語で"睡蓮"の意味。地上に多数展開されたそのアンテナ群はまさに湖上に並んだ睡蓮のよう!➡写真参照)を、C領域4名のスタッフが訪問しました。NenuFARは周波数10~85MHzの自然電波を観測することを目的に開発されているアンテナ・アレイで、直径2mほどの小型アンテナが完成時には1800個以上並び、その総有効開口面積は30MHzでは62,000㎡にもなる、この周波数帯では世界最大1のアンテナです。このアンテナは、パリの南約200kmにあるNancay観測所で建設が進められており、今年の7月からは早期運用が始まったところです。Nancay観測所は、広大な敷地に10MHz~3.3GHzを観測する多様なアンテナ群が展開されており、NenuFARはその中でもっとも低周波数且つ最大のアンテナです(Nancay観測所の特筆すべきはその電波環境(光環境も!・・・見事な天の川にも遭遇・・・)の静かさ! 携帯電話なぞ繋がりません・・・色々な意味で羨ましい・・・)。

今回の訪問は、日本の自然電波研究グループと長年の交流のあるパリ天文台でNenuFARプロジェクトを率いているPhilippe Zarka博士のご好意により実現したものですが、この訪問の目的はNenuFARでどのような、また、どのようにして国際共同研究を行い得るか、を議論するためです。9月19日にはパリ市内にあるパリ天文台で議論、その夕方にZarka博士自ら運転する車に同乗させて頂きNancay観測所に移動、9月20日はNenuFARの見学を挟んで朝から夕方まで議論を行いました。NenuFARは、地球電離層での反射・屈折を受けずに地球外からの到来電波が地上に到達出来る最低周波数である10MHzから観測出来ます。NenuFARの大口径アンテナで実現する、電波天文学的には極めて低いこの周波数での高感度観測は、私達C領域で長年の研究がなされてきた太陽系内の惑星・衛星や太陽に関連する微弱な電波を用いた研究は勿論、更には太陽系外の惑星や電波天体の研究等にとって、非常に魅力的です。

現在、世界の電波天文の観測分野では、50MHz以上での観測が可能な広大なアンテナによる国際共同観測研究プロジェクトSKA(Square Kilometre Array)が実現に向けて進行中であり、日本でもこのプロジェクト参画に向けた動きが始まっています。一足先に早期運用に入ったNenuFARはSKAよりやや低い周波数帯をカバーする装置で、科学目的面でも接続性・共通性を持っています(NenuFARはSKAの公式なPathfinderプロジェクトとしてSKA機構に認知されています[3])。私共は、高感度の電波観測での研究に関心を持つ多くの日本の電波観測者の方々とともに、フランス・パリ天文台が心血を注いで開発を進めてきた、電波観測研究の未来に繋がるこのNenuFARプロジェクトに如何に関わってゆけるかを更に考えてゆきたいと思っています(NenuFARに関心を持たれた皆様、私共にご連絡下さいますようお願いいたします)。

文責:三澤(電子メール:misawa_at_pparc.gp.tohoku.ac.jp)

・[1]:偏波特性を計測出来るアンテナとして世界最大。偏波特性とは、電波の持つ情報の一つで、電波の発生起源や、電波の伝搬路の特徴を伝える。

・[2]:NenuFARのwebサイト:https://nenufar.obs-nancay.fr/en/homepage-en/

・[3]:参照先:https://www.skatelescope.org/news/french-nenufar-telescope-granted-ska-pathfinder-status/

 1NeneFAR.png

パリ天文台Nancay観測所に展開されているNeneFARアンテナ群。

2Mini_Array.png

NenuFARは19素子からなるMini Arrayの集合体。MiniArrayの信号合成部の説明を受ける東北大スタッフ(右側の3名)。左から2人目がNenuFARプロジェクト責任者のZarka博士。

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