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2019年9月 3日

多波長観測で捉えた木星の嵐 〜 すばる望遠鏡赤外線カメラによる観測 (2019/9/3)

(文責: 笠羽)

東北大PPARCとNASA/JPLのメンバーで行った2017年1月の国立天文台・すばる望遠鏡による木星中間赤外線観測は、世界的な木星観測キャンペーンの一翼を担いました。この観測で、木星大気を吹き荒れるストームの3次元構造を分解し、地球の赤道域でも見られ、台風の機構としても知られる「湿潤対流」で説明できることを明確に示しました。

今回の成果は、アルマ望遠鏡による干渉計観測を軸になされたもので、すばる望遠鏡の他にもNASAハッブル宇宙望遠鏡、米ジェミニ北望遠鏡 8-m、WMケック望遠鏡10-m、欧VLT 8-mという世界最大級の望遠鏡群が参加しています。電波〜可視光に跨る多波長観測は、嵐を高度方向に分解してその3次元構造の解明を可能とします。惑星探査機では困難ですが、他惑星の大気現象を地球と比較するには必須の手法であり、この効果を示す素晴らしい例となりました。

本研究は、他に国立電波天文台(NRAO)、NASA/GSFC、クレムソン大、メルボルン大、レスター大の共同で行われました。この成果をまとめた論文は、Imke de Pater(UC Berkeley)を主著者としてAstronomical Journalで出版されます(暫定的にオンライン公開中: https://arxiv.org/abs/1907.11820)。

我々が観測を行ったすばる望遠鏡の中間赤外線観測装置COMICSは、2020年7月末に運用が停止されます。日本がこの分野へなせる貢献機会が限られてしまうことが残念ですが、それ以上にこの停止は「大望遠鏡に常設される中間赤外観測装置」がなくなることも意味します。この波長帯は重量・電力等が限られた探査機での観測が難しいため、現在木星を周回中のJuno探査機では観測がなく、地上観測による補完が期待されていました。

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すばる望遠鏡中間赤外線カメラCOMICSが捉えた木星。明るい部分がアンモニア氷雲(a)。大赤斑(GRS)やオーバル(BA)は定常的な巨大構造とともに、各矢印が示す白斑・暗斑といった木星の巨大嵐が見えています。(Imke de Pater et al.)

 20190903_20.png 

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたRGBカラー図との比較(Imke de Pater et al.)

<Links>
東北大・理サイト  --  
http://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20190903-10422.html

国立天文台すばる望遠鏡サイト -- 
https://subarutelescope.org/Pressrelease/2019/08/23/j_index.html (日) 
https://subarutelescope.org/Pressrelease/2019/08/23/  (英)

国立天文台アルマ望遠鏡サイト -- 
https://alma-telescope.jp/news/jupiter-201908 (日) 
https://alma-telescope.jp/en/news/jupiter-201908  (英)

UC Berkeleyサイト 
https://news.berkeley.edu/2019/08/22/storms-on-jupiter-are-disturbing-the-planets-colorful-belts/
https://news.berkeley.edu/2016/06/02/new-radio-map-of-jupiter-reveals-whats-beneath-colorful-clouds/

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