2019年2月アーカイブ

2019年2月20日

プリューム!

2019/2/11-15の日程で、世界各国から40-50名の研究者がアイスランドに集まり、外惑星の月に関するワークショップが開かれました。今なぜ外惑星の月か、というと、土星探査機カッシーニが土星の月エンセラダスから水が噴き出していることを発見し、ハッブル宇宙望遠鏡が木星の衛星エウロパの表面に水の間欠泉(プリューム)がある証拠を突き止めたからです。エンセラダスもエウロパも、表面は氷の殻に覆われていますが、その下には液体の水が存在していて、火星と並び、生命の居住環境の研究を行う絶好の研究対象になった、というわけです。木星の別の衛星、ガニメデとカリストにも氷殻の下に液体の水が存在する可能性があります。今回のワークショップに集まった研究者は、地質学者ではなく、惑星の大気・磁場やその周りのプラズマを扱う宇宙物理学者でしたが、磁場やプラズマの観測が、衛星の内部の構造、衛星の大気、プリュームの観測にとても重要だということが話し合われました。

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写真は、火山島でもあるアイスランドで有名な間欠泉。これがあるからワークショップの場所がアイスランドになりました(主催者談。あとは、アメリカとヨーロッパ両方から近いから。日本からはどのみち遠い。。。)。それから、アイスランドはオーロラ帯なので、オーロラを見るのにも絶好の場所です。ワークショップの期間中、1日だけ夜空が晴れて明るいオーロラが見えた日がありました。が、私はミーティングディナーのお酒と時差ボケのせいで、オーロラに気づかず就寝。。。
2020年代後半には、エウロパとガニメデには、2機の探査機が送り込まれます。ガニメデの周回軌道に探査機を送り込むヨーロッパのJUICE計画には、日本からも4つの観測機器が参加します。東北大学は電波の受信機を開発中。電波を使って、衛星の大気や地下構造の観測に挑みます。今年は遂にフライトモデルの製造です(日本側開発責任者は、笠羽大先生)!

地球には月は一つしかありませんが、木星や土星には非常にたくさんの月があります。木星には、ガリレオ・ガリレイが最初に発見した大きい月だけで4個。前述のエウロパ、ガニメデ、カリストは"氷衛星"ですが、イオには、地球にもあるような溶岩を噴出する活発な火山がたくさんあります。宇宙は多様ですね。私は日本の宇宙望遠鏡衛星「ひさき」により観測されたイオの火山ガスの研究成果を発表してきました。

(土屋)

2019年2月 5日

ローマ出張:欧火星探査機ExoMars Trace Gas Orbiterの NOMAD チーム会合 (文責:笠羽)

2018年春から本格観測に入った欧火星探査機ExoMars Trace Gas Orbiter。
火星大気の組成を過去最高の精度で調査し、大気活動の全貌と地殻活動(や生命
活動?)の痕跡を大気化学の面から掌握することを目指す、野心的な探査機で
す。2020年に打ち上げられる着陸機とペアで、火星における欧の
「Astrobilogy」的研究の柱として位置づけられています。
(Missionの紹介 @ ESA:
http://exploration.esa.int/mars/46048-programme-overview/ )

この探査機の主力機器の1つ「NOMAD」(赤外線・紫外線分光器)は、ベルギー
を中核として開発されました。うちの出身である青木君が、ベルギー・IASB側の
コアメンバーの一人としても活躍中です。
(装置の紹介 @ IASB: http://mars.aeronomie.be/en/exomars/nomad.htm) 
日Nozomi - 欧Mars Expressの関係から始まったこれまでの共同研究の履歴から
私も共同研究者の一人となっており、2017-8年度には日本-ベルギー共同研究
「火星-金星大気研究」を実施してきました。
この総まとめの1つを兼ね、1/26-28にローマ郊外のイタリア宇宙機関 ASI
(Agenzia Spaziale Italiana) で開かれた「NOMAD チーム会合」に、NICTの黒田
さんと共に参加してきました。
(会合のlink: https://t.co/3nP67OT2l4 --- イタリア語です。)

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この写真の数km先に、Appia Antica、すなわり、いにしえのローマ街道がありま
す。すぐに野山がジャングルと化す日本から来ると、一見「放っておかれた造成
地」にしか見えない。少なくとも、この10年ぐらい同じ風景に見えます。
なのでその200倍ぐらいはここまんまでもいられたのかも。流石に、木は切られ
たのだろうが。。。

FIG2.jpg
この180度後ろに、「イタリア宇宙機関」ASIがあります。冬のイタリアは天
気悪く、この写真を撮った最終日だけ晴れました。ここは第2ローマ大学?の端
にあたります。

FIG3.jpg
この会合は「ExoMars周回機の1搭載機器」のものなのですが、それでこの人数
が参集しています。加えてTV会議参加の人もおりました。
青木君は元気に「火星の水と重水素/水素比」、特に昨年夏に起きた火星ダスト
ストーム時におけるこの大変動の紹介を行っていました。
こちらも、うちのハレアカラ60cm望遠鏡で捉えたより高高度のCO2発光量の増大
(惑星大気の中川さん成果)、また過去火星の大気環境再現を含むモデル研究の
現状の紹介を行ってきました。

帰途のアリタリア機内で、ASI宣伝ムービーが結構見られることに気が付きまし
た。Mars Express やExoMars、すなわちこの会合の主役のみなさんも登場。

なお、まだ確定ではありませんが、2020春、桜の季節に、この会合を仙台で開く
かもしれません。