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2015年5月 5日

飯舘観測所の現況


 東北大学では1991年に、阿武隈山系の高原にある福島県相馬郡飯舘村の山中に新しい観測所を開き、木星や銀河起源の10m波帯電波の観測を開始しました。1999年には60cm口径の光学望遠鏡を、2001年には国内屈指の1000平米の開口を持つ大型電波望遠鏡を設置し、惑星観測を行ってきました。また、2010年秋には新しい装置を開発し、太陽電波の連続観測を開始しました。

 この新しい観測を始めた矢先の2011年3月、東北地方太平洋沖地震が発生し、飯舘村も震度6を記録しました。観測所も10m波帯電波観測用アンテナの一部が損傷する被害が生じましたが、大型装置群は幸い無事でした。観測所の大型電波観測装置は、遠隔運用により、地震発生後約2ヶ月で観測を再開しました。また、損傷したアンテナも2012年末迄に修復され、観測に復帰しました。一方、光学望遠鏡はハワイ・マウイ島の標高3000mを超えるハレアカラ山に移設され、2014年秋に惑星観測を再スタートしています。

 2011年3月の大地震に伴い、ご存じのように、福島第一原発事故が発生しました。この事故により飛散した放射性物質は、原発の北西約30~40kmにある飯舘村にも降下し、村は計画的避難区域に設定されました。2012年7月には、観測所のある、村の北西部の前田地区は居住制限区域に設定され、それ以来、出入りに制限はないものの泊ることは原則として出来ない地域になりました。現在、村では平成28年内の完了を目処に環境省主導による除染作業が進められており、宅地に続いて農地・森林・道路の除染作業が3000人規模で行われています。国有林内にある観測所も、本年内の除染実施が計画されています。

 飯舘村は豊かな自然に恵まれ、また、心のこもった暖かで繊細な「までい」な繋がりをを大切にしてこられた村です。震災前には観測所でも、村の皆さんとその美しい星空を愛でる会を村と共同で開催してきました。村の皆さんの安心しての帰還が早期に実現し、また、観測所で皆さんと笑顔で再会出来る日を私達も心待ちにしています。

(三澤浩昭)

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図.除染作業が進む福島県相馬郡飯舘村前田地区(2015年4月30日撮影)

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