2017年7月 5日

MOP2017 conference

6月12~16日にスウェーデンのウプサラ大学でMOP2017(Magnetospheres of the Outer Planets 2017)会議が開催されました。この会議は、Pioneer探査機が初の木星探査を行った1974年にその前身となる会議が行われ、それ以来数年に一度の頻度で欧米各地で開催され、今回で19回目を迎えた歴史のある国際会議です。この会議では、その名の通り、巨大惑星やそれらの衛星の超高層、電磁圏環境やその変動現象に関する最新の研究内容が紹介されます。今回は、2004年から土星を周回しながら探査を行ってきたCassiniが今年9月に探査の最期を迎える"Grand Finale"に向かいつつあり、大きな関心の下、研究集約が進んでいること、また、昨年9月に周回軌道投入に成功し2機目の木星探査機となったJunoの初期観測結果が公表された時期でもあることから、従来に増して多くの研究者が参加し、活発な講演・議論がなされました(講演件数:205件、前回会議より約1割増)。惑星プラズマ・大気研究センターからはスタッフ・院生を合わせて4名(地球物理学専攻C領域からは8名)が参加し、ハワイ観測所での光学観測や科学衛星HISAKI他の光学・電波観測に基づく木星衛星イオ起源プラズマの変動様相やその磁気圏への影響等について研究紹介を行うとともに、今後の共同研究等についての議論を行ってきました。

今回の会議での!なニュースとして「仙台が次々回の会議開催地に決定したこと」も挙げられます。実は仙台開催は2011年初夏に予定されていましたが、東日本大震災の勃発により開催を返上した経緯があります。震災後6年を経た現在の復興状況を会議参加者に理解頂き、2019年乃至2020年に改めて開催することになりました。MOP会議の日本での開催~欧米以外での開催~は初めてで、本領域の研究推進面は勿論、地上・科学衛星観測や探査機搭載機器開発等で行われてきている国際共同プロジェクトの推進に更に弾みがつくことを、また、日本の、関連領域の多くの研究者や若手・学生の方に本領域の研究を知って頂き、参画頂く好機となることを期待しています。私達C領域はホストとしての役割も担いますが、多くの皆様を改めて仙台にお迎え出来ること、一緒に会を催せることを今から楽しみにしています。(文責:三澤)

※MOP2017のホーム頁:https://www.irfu.se/mop2017/

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図. MOP2017が開催されたウプサラ大学オングストローム研究所。ウプサラ市中心部から徒歩30分程の丘陵地にある、自然と融合した素晴らしい会場。


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会議のシンボルキャラクター"MOP"(©Magnetospheres of Outer Planets 2015)

2017年6月19日

放送大学・宮城学習センターで太陽と惑星の講義をしています

私たちのセンターは、太陽と地球・惑星の観測をベースに、新しい物理を発見したり、あるいは、提案されている仮説を実証したりしています。私たちのセンターがスタートして、今年で18年になりますが、メンバーの努力が実り、いくつもの成果が出て来ています。こうした研究を、センターに所属する学生の皆さんの卒業論文の題材として用いています。

私は、センターが進めている研究成果を、分かり易く整理をして、市民の皆様に届けたいと考えていました。そして、講演会を開催したりインターネットで講義を行ったりして来ました。

昨年、放送大学・宮城学習センター所長の大渕先生からお話を頂き、太陽と惑星環境について、面談授業をさせて頂きました(平成28年6月)。今年は、7月のはじめに、オーロラの科学について、面談授業を行う予定です。

受講の方々は、20代から80代の広い年齢層の方々で、興味も多域に渡っています。太陽や地球・惑星、そしてオーロラについて、観測した映像や、コンピュータシミュレーションのムービーを見ていただきながら、出来るだけ分かり易く解説をするように心がけています。沢山の質問を、授業で頂きますが、時には、難しい質問を受けます。そして、受講の皆様の関心の高さを、感じています。まだ、お伝え出来ていない事が残っています。太陽系の歴史や、惑星の進化についても、段々に、ご紹介していければと考えています。

(小原隆博)

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©放送大学・宮城学習センター

2017年5月31日

続・観測装置を作っています

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前回の投稿でも紹介した、 惑星観測用コロナグラフの開発について、引き続き紹介致します。 コロナグラフでは光学系の内部に望遠鏡の瞳を投影し、その大きさに合わせた瞳マスクが必要になります。 厚さ50μm程度のステンレス板を加工して、外径20mm程度のドーナツ状の円盤の内側に直径6mm程度の円盤 が0.2mm程度の腕で支えられた構造(写真g)を作成しなければなりません。レーザーや放電加工機による 加工が考えられますが、今回はフォトリソグラフィという手法を用いて、以下の手順で作成を試みました。

(1) 厚さ50μmのステンレス基板に、フォトレジストと呼ばれる液体を滴下し(写真a)、 高速で回転(2000RPM)させることにより(写真b)、基板の表面に数μmの厚さで均一に広げます(写真c)。
(2) マスクのパターンをレジストコート済のステンレス板に投影し(写真d)、露光します。
(3) 露光済のレジストパターンを現像します。光が当たった場所のレジストが溶解します(写真e)。
(4) 塩化第二鉄のエッチング溶液につけます(写真f)。
(5) レジスト部分以外のスレンレス基板が溶解し、マスクが完成します(写真g)
文字に書くと簡単なようですが、レジストの厚さや露光時間、基板の厚さとエッチングの時間など、 適切な条件をみつけるのに試行錯誤を繰り返す必要があります。ただし、一度に異なるパターンのマスクを 安価に制作できる利点があります。(鍵谷)

2017年5月15日

NASAひさき会議

二か月遅れの投稿失礼します

3月27日、29日に東京大学本郷キャンパスでIo plasma torus workshopが開催されました。

この会議ではFran Bagenal氏、Andrew Steffl氏、院生のEdward Nancyさん(通称Eddyさん)をお招きして木星圏の研究を中心に成果を発表・ディスカッションを行いました。
東北大学の学生からは私古賀と、現M2の荒川君が参加しました。
木星圏について理解を深めたと同時に、自分の研究が注目されていることを実感し、これからより頑張らなければと思いました。
27日の夜は近場の焼鳥屋さんで懇親会が行われました。ここではEddyさんやAndrew夫妻とたくさん交流することができました
また、このような合同研究会が行われたら積極的に参加したいとおもいます

それでは

(古賀)

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2017年5月11日

飯舘惑星電波望遠鏡で長基線電波干渉計実験に成功

東北大学の飯舘惑星電波望遠鏡IPRTと名古屋大学宇宙地球環境研究所の太陽風観測用電波望遠鏡を使った325MHzでのクエーサ(3C48)の長基線電波干渉計(VLBI)に成功しました。
観測を主導したのは情報通信研究機構の岳藤さんです。岳藤さんによる詳しい観測報告はhttp://www2.nict.go.jp/sts/stmg/vlbinews/news137.pdf
をご覧ください。

飯舘惑星電波望遠鏡は太陽系の惑星(木星)と太陽電波の観測のために開発された電波望遠鏡で、これまで単独で観測を行ってきましたが、今回の実験で干渉計観測を行う基礎技術が確立されました。

低い周波数の電波は天体の高エネルギー粒子が放射する電磁波の観測に適しており、木星磁気圏や太陽コロナなど、宇宙空間で発生している高エネルギー粒子の加速現象の研究を行うことができます。更に、宇宙空間を伝搬する間に受ける散乱や伝搬遅延の影響は、低周波の電波ほど大きいので、電波の伝搬途中の宇宙空間の情報を得るのに適しています。日本国内には1GHz以下の周波数で観測を行うことができる電波望遠鏡は少なく、IPRTはとてもユニークな電波望遠鏡です。今後の低周波の利点を生かしてユニークな観測を進めます。(土屋史紀)

2017年5月 9日

山菜採り

4月30日に蔵王観測所で毎年恒例の山菜採り・BBQをC領域合同で行いました。とてもいい天気に恵まれ、学生や先生方とそのご家族も含め、30名近くが参加されました。
山菜はふきのとう、こごみ、たらの芽、しどけなど、当日採ったものとPPARC技術補佐員の阿部さんが事前に採っておいてくださったものを天ぷらにして食べました。お肉は阿部さんが用意してくださった味噌漬けのイノシシ肉などを美味しく頂きました。
他にもBBQのために野菜やお肉を買っていったのですが、予想より皆さんお腹一杯になるのが早く、食材が大量に余って持ち帰るという事態に...(次の日に研究室で焼きそばと焼肉パーティーをしました)。
何はともあれ、皆さんポカポカ陽気の中、BBQや山菜、そして各々会話を楽しんでいたようで良かったです。
来年の山菜採りもいいお天気になりますように!
(平井あすか)

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2017年5月 8日

ロシアに低周波電波観測装置を設置

宇宙空間から地球大気に降り注ぐ高エネルギー粒子を観測する電波受信装置が、この4月にロシア・ヤクーツクの北にあるMaimagaに設置されました。地球周辺の宇宙空間(放射線帯)から降り注ぐ高エネルギー電子が地球の大気を電離したところを、電波の反射を使って観測するものです。この観測を用いて、高エネルギー電子が地球大気に与える影響や、磁気嵐発生時に放射線帯が消失する現象の解明に取り組んでいます。

PPARCでは同じ装置をノルウェー、アラスカ、カナダにも設置して観測を行っていますが、これまで観測の空白域であったロシアに設置することができました。2016/12に打ち上げられたジオスペース探査衛星「あらせ」の地上連携観測の一つでもあり、今後1-2年は、あらせ衛星との連携観測を精力的に行います。

写真は、設置されたアンテナの様子。白樺が生えていて、北海道や長野県の高原にもありそうな風景ですが、、、ロシアです!

ロシアへの設置は、PWINGプロジェクト(http://www.isee.nagoya-u.ac.jp/dimr/PWING/)、名古屋大学宇宙地球環境研究所、ロシア科学アカデミーとの共同研究で実施しています。(土屋史紀)

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2017年4月28日

PPARCと湘南工科大の共同の落雷位置研究の成果がプレスリリースされました

当センターの坂野井准教授、土屋助教と共同研究している湘南工科大学の成田知巳教授らのグループの落雷位置標定に関する研究成果について、プレスリリースがありました。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

20170408東京新聞 

20170413朝日新聞  20170413電気新聞

2017年4月26日

4月22日大西卓哉宇宙飛行士 ミッション報告会 in 宮城県仙台市

4月22日(土)に、仙台市若林区文化センターにて「大西卓哉宇宙飛行士 ミッション報告会 in 宮城県仙台市−国際宇宙ステーションから考える地球と生命のフロンティア−」が開催され、当センターの坂野井准教授も講演を行いました。

その模様が東北大学理学部の広報・アウトリーチ支援室のサイトに掲載されております。

詳細はこちらをご覧ください。

2017年4月24日

飯舘村の避難指示解除

 2015年5月5日付けの本ブログに記したように、私共の惑星圏飯舘観測所のある福島県相馬郡飯舘村は、2011年3月の大地震に伴い発生した福島第一原発事故由来の放射線物質の降下により計画的避難区域に設定され、観測所のある前田地区は2012年7月以降、居住制限区域に設定されていました。原発事故発生以来約6年の間に村内の居住地や農用地は除染が進み、帰還困難区域に指定されている村南部の一地区を除き、2017年3月31日に飯舘村の避難指示が解除されました。

 避難指示解除後に向け、村では、行政関係では福島市内に機能移転していた役場を昨年7月に村内に戻し、生活関係では新しい公共施設の開設を行ってこられ、現在、村の主要道沿いに大きな商用施設の新設も進めておられます。教育関係では来年度に学校再開が予定されており、特に留意された除染がなされ、施設の更新・整備が進められています。一方、村内では、避難指示が解除された今も除染作業は継続されており、多くの方の帰還はこれからになるのことです。

そのまた一方で、村内では新築やリフォームを行う家も増えてきています。先日偶々、新築中の家へお邪魔する機会がありました。オーナーさんは中二階のある新築中の家の中を見せて下さり、中二階は孫達が来たら泊まれるようにと思ってね、と明るい笑顔で話して下さいました。村の広報誌 いいたて 4月号には次のような記事が掲載されています。「・・・・復興への道のりも、本当にこれからが本番です。逆境にある時ほど、人は真価が問われるもの。新しい村づくりに果敢に挑戦してゆく今だからこそ、明るさを持ち、感謝を忘れず、飯舘村民の底力を発揮してゆきましょう。」 「までい」な繋がりを大切にしてこられた村が、その心の下、復興の槌音が響く中で、更に力強く歩み続けようとされています。

私共が飯舘村での観測を始めて今年で25年になります。開始以来、その豊かな自然環境の下、私共は村の多くの皆様に支えられて研究を続けることが出来て参りました。避難指示解除になった今後、私共がどのように恩返し出来るか、考えて参ります。

(文責:三澤)

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図.原町~飯舘~川俣を結ぶ県道沿いの飯舘村東部八木沢地区に新たに立てられた看板 兼 放射線量モニタリングポスト