2019年1月10日

ノルウェー出張・観測ロケット打ち上げ前日

脈動オーロラの直接観測を目的とした、アメリカとノルウェーが主催するロケット実験RockSat-XNの打ち上げのためにノルウェーのアンドーヤに来ています。

我々PPARCは、坂野井先生主導のもと、オーロラ撮像カメラ (AIC)を開発しロケットに搭載しました。AIC以外にも、電子観測器 (MED, HEP)、磁力計(AFG)を日本チームが開発・搭載し、これらをまとめてPARM(Pulsating AuroRa and Microbursts)と名付けました。

各観測機器の最終的な動作チェックは無事終了し、あとは打ち上げを待つのみです。
WFF-2019-073.jpgIMG_5174.jpg

AICの写真。(上) 性能試験のため、レンズの前面にNDフィルターを装着中。(下) 試験終了後、打ち上げ準備万端のAIC。

日が昇らない1月のアンドーヤですが、暗闇をナトリウムランプが優しく灯しています。街の人々の生活はとても穏やかです。

IMG_7630.JPG

街中の写真。現地時間15時で既に真っ暗です。

時間に余裕がある朝はワッフルを自分たちで焼いて食べました。
Image from iOS.jpg

ハート形のワッフルの写真。

街は海と山に囲まれています。風が強く、雲が空を覆っている時間が長いですが、良い天候と良い脈動オーロラの発生を祈っています。
IMG_7608.JPG

ロケット発射場の周辺の景色。

45B6A061-F71C-4CFC-AC72-CD16905CC155.JPEGIMG_7647.JPG

ノルウェー滞在6日目の夜に現れたオーロラの写真。

(文責:八木、吹澤)

2019年1月 7日

MOOC(解明:オーロラの謎)英語版進行中

MOOCMassive Open Online Course:大規模公開オンライン講座)は、世界中に登録者を持つ、新しいオンライン学習サービスです。東北大学は、2016年からMOOCに参加して、日本語版のコンテンツを提供しています。

昨年の暮れの押し迫った頃、これまで日本語で配信していた番組を英語に吹き替えました。場所は仙台駅前のNHK関連会社の録音スタジオ。早朝から夕刻まで、まる2日間かけて、収録しました。

今回提供するテーマは、「オーロラ」です。寒い地域の夜を飾るオーロラですが、地球以外の惑星(木星、土星など)にも、出現します。番組では、オーロラ発生の仕組みについて解説するとともに、PPARCで進めている望遠鏡プロジェクト、JAXAの衛星プロジェクトに参加して得られた成果、そして世界の関係研究機関との共同研究から得られた知見を紹介しています。

全部で4時間以上にわたる配信内容ですが、現在、NHKエデュケーショナルにて、編集作業が続けられていて、来年度、世界に発信される予定です。

日本語版は、6200人の皆様に視聴していただきました。多くのご質問を頂き、PPARCの大学院生3名(近藤さん、荒川君、吹澤君)の協力を得て、回答しました。今度は世界に向けての配信です。世界からは一桁多いご質問が予想されますので、事前の備えを行おうと思っているところです。(小原隆博)

解明 オーロラの謎.jpg

[日本語版MOOC配信の様子]

2018年12月27日

富山で望遠鏡メーカーと打ち合わせしてきました

PPARCは口径1.8m望遠鏡計画「PLANETS」を推進しています。その架台製作の検討のために、鍵谷助教と坂野井が富山に日帰り出張してきました。

望遠鏡架台メーカーの内部はお見せできないのは残念ですが(内部の写真はここで見ることが出来ます)開発中の1.1 m反射望遠鏡などの架台と、それを動かす制御システムを見ながら、我々「PLANETS」望遠鏡の具体的な話をしてきました。

スクリーンショット 2018-12-27 13.20.37.png

さすが望遠鏡架台メーカー、マウスパッドが天文年鑑でした。

スクリーンショット 2018-12-27 13.20.20.png

(文責:坂野井)

2018年12月20日

飯舘大型電波望遠鏡(IPRT)の旋回部車輪系修理

2018年3月初旬、それまで太陽や惑星、また、パルサー天体等から到来する電波を順調に日々観測し続けてきた飯舘観測所にある大型電波望遠鏡IPRT(写真1)が、突如運転を停止しました。

IPRT.jpg

写真1. 飯舘大型電波望遠鏡(IPRT)

IPRTは方位角方向、高度方向に自在に動かすことが出来ますが、方位角方向の動きが異様に重くなり、過負荷エラーで停止していたのです。考えられる原因として、駆動ドライブ用のチェーンが脱落し、何かに引っかかった場合(自力で復旧出来る、軽微な類の不具合)や、駆動モーター・ブレーキ系の不具合(業者委託が必要な場合もあり、修理時間&ややモノ入りな不具合)等々がありますが、前者の類いであることを祈りつつ現場に急行しました。しかし、調査の結果は何れでもなく、より面倒&モノ入りな不具合、即ち、自重約300トンのアンテナ本体のジャッキアップを含む大部の作業が必要となる、旋回部車輪 全12系の一つのベアリング損傷であることが分かりました。その後、他の車輪は今後も大丈夫なのか?、再発可能性を極力下げるための対策・方法は?、等々について業者を交えた長い検討を行い、初秋に漸く修理着工にこぎ着けました。修理作業では、アンテナ本体のジャッキアップ作業と、不具合の発症した系以外も含む複数系の改修を行うこととなった自重約1トンの車輪筐体の取付・取外作業は全て「人力」 という厳しい作業を、請負業者は入念な準備と見事なチームワークで対応下さり(写真2)、機械整備工場での損傷部分を含む車輪回転系の高耐久部品への総入替も無事終了し(写真3)、12月初旬にほぼ9ヶ月ぶりにIPRTは復旧しました。今は、本改修により、IPRTの運用が末永く無事継続することを念じつつ、観測を再開したところです。

[謝辞] 本修理に尽力下さった全ての皆様、特に (株)IHIインフラ建設関係者の皆様に 厚く御礼申し上げます。

(文責:三澤)

作業1.jpg作業2.jpg

写真2. 部品交換修理の終わった駆動系車輪筐体(自重約1トン)の搬入作業。

修理後.jpg

写真3. 機械整備工場で部品交換後の駆動系車輪の確認を行う土屋さん(写真中央)。

2018年12月 7日

女川観測所の電気工事を行いました

女川の地磁気観測所の電線の地下埋設工事を行ってきました。

IMG_5528.JPG

あいにくの冷たい雨、次第に本降りになる中で、建築業者さんと電気屋さんの作業が続きます。作業の合間に、女川の業者さんの復興に対する思いをお聞きして、改めて感動しました。夕方、再び電気が通じて、一安心。観測を再開しました。

IMG_5529.JPG IMG_5526.JPG

帰りに、ハマテラスで刺身をゲットし、研究室でみんなで食べました。

IMG_5563.JPG

(文:坂野井)

2018年11月17日

Bepiくん、順調に飛翔中

(文責:笠羽)

月1度ペースでしか更新していませんが、さすがに忙しいのでご容赦ください。
2ヶ月前1ヶ月前(打ち上げ前)にこの欄で予定を書いていましたが、日欧合同水星探査 Bepiくん、打ち上げを無事に終え、順調に飛翔中です。

射場のあるフランス領ギアナは、

赤道近傍(アマゾン川河口)に近い「赤道近傍」に位置するので、地球の自転速度を有効に活かした効率的打ち上げが可能な位置にあります。パリとポルトープランス(カリブ海の国)しか直行便がないようで、「door to door 37時間移動」。
なぜここが「仏領」かというと、17世紀頭にこの一帯(ギアナ)を仏が占拠したが、 17世紀後半の第二次英蘭戦争+フランスのオランダ侵攻で、西半分->オランダ(今のスリナム)へ、ニューヨークは蘭->英へ・・・ という複雑な経緯ではあります。

木星探査機JUICE打上に行く可能性もある、ということで、打ち上げ中継の youtube に映りにはるばる日本側観測装置代表メンバー群とともに現地へ伺いました。射場と打上は「Arian space社管理」で、ESAから見てもその制御はなかなか大変。予定は本当にぎりぎりまでわからず。打上後のVIP用バス相乗りを危うく日本組は乗車拒否されかかり、また探査機チーム全体の打上後パーティーは場所がなくキャンセル。その他いろいろ・・・ という「JUICE用練習」としてなかなか意味ある経験をして戻ってまいりました。
私にとっては、ロシアの「ソユーズフレガートロケット」の現物を間近で見ることができた、という意味で有意義でした。もともと、我々の探査機は、このロケット(先日打ち上げが失敗したやつですが、本来、世界で最も低コスト効率・高安全なロケットの1つ)で上がるはずでした。結果的に重量が膨れ上がったため、Arian-Vに替わったのですが、思わぬ邂逅でした。

日本の探査機である「MIO」(MMO)は、現在順調に初期動作試験を進めつつあります。
私が開発の主担当を努めてきたMission Data Processor(全観測装置の統合制御機)は 11/7-9に、Plasma Wave Investigation(電波・電場観測装置)は11/10-12に、それぞれ電源投入を行い、「打ち上げ振動では壊れなかった」ことを確認しております。本日現在、初めて宇宙で取得したデータを解析中で、打ち上げ前に気が付かなかった問題をどう潰すか、を現在チーム内で検討中です。

来年3月には、東京のスカイツリーで打ち上げ後初の「全体サイエンスチーム全体会合」が予定され、日欧の枢要メンバーが集合して、我々の本業、すなわち「観測の成果の創出」に向けた作業が開始されます。まだまだ先は長い。

2018年10月14日

日欧合同水星探査機 BepiColombo 打ち上げ予定: 日本時間で2019/10/19昼

(文責:笠羽)

1ヶ月前にこの欄で予定を書いていましたが、日欧合同水星探査 Bepiくんの打ち上げ準備はその後も非常に順調に進んでいるそうです。

打ち上げは、南米ギアナスペースセンター(仏領ギアナ)。先日事故を起こしたロシアのソユーズロケットも、ESA-ロシアの協力でここから打たれることがある、欧州のロケット打ち上げ場です。打ち上げは巨大な「Arian-Vロケット」(この打ち上げ101回目?)。10月19日(金)日本時間11時頃ですが、時差12時間ですので、現地時間は23時前・・・夜に行われる巨大な「打ち上げ花火」となります。

*** パンフレット ***
- JAXA (Japanese ver.)
- ESA media kit
-Arianespace launch kit

*** Twitter accounts ***
-Mio (MMO) @JAXA_MMO
-Bepi (MPO) @ESA_MPO
-MTM @ESA_MTM

*** Youtube (cartoon animation by ESA) ***
French:https://youtu.be/m5vaMYJupfM
Japanese: https://youtu.be/Z96Sw0NyvEg <<日本語版>>
German:https://youtu.be/fvahTWyhV1g
Italian: https://youtu.be/ziMwI5fR2HA
Spanish https://youtu.be/2VnUX6yRn4Q
English: https://youtu.be/MKEcanjC0eM

射場まで行くのは結構大変です。私の場合、私(PWI主任研究者)、京大・生存圏研の小嶋浩嗣先生(PWI 副主任研究者)、東大の吉川一朗先生(MSASI主任研究者)、名大・宇宙地球環境研の平原先生の4人道中になります。仙台から現地まで35時間、空の上だけでも13+9時間。射場近くの宿は既にいっぱいなので、我々は約50km離れたCayenneという南仏ギニアの首邑から毎日通うことになります(運転は私)。南米ですが仏領なので、各種注意事項は「EU圏内的」ではありますが。

我々のまず最初のゴールは、「打ち上げ花火」そのものではなく(こちらは「その成功を祈る」だけ)、その後すぐに来る「ロケットから分離され、一人旅を始めた探査機からの元気な連絡」です。
私の担当機器の電源が入って「宇宙で再誕生」するのは11月半ば。その立会いに、今度はESOC(European Space Operation Center)に行くことを検討中です(講義次第ですが)。ここは南独にあり、9月までうちにいたAlexくん、また10月から来たPaulくんの母校「Heidelberg University」の近くにあります。

<LINKs>

BepiColombo missionの最新情報(JAXA)
日本が担当する水星磁気圏探査機「みお」の紹介(JAXA 宇宙科学研究所)
東北大・研究科広報の関連記事
東北大・宇宙航空研究連携委:直近の予定

2018年10月 7日

"プレイヤーインタビュー" on 次期国際協力大型ミッション JUICE Japan Web (JAXA)

10/16(火)には日欧共同水星探査機 BepiColomboの打ち上げに伴い、南米の仏領ギアナ・Kourouにある欧州射場に出張予定です。(link先:先日のPPARCブログ)この緊張の中で、「2022年打ち上げのミッション」の話、というのも個人的にはちょっと違和感があったりはするのですが、ちょうど公開された、とのことですので。

欧州木星探査機JUICE計画に搭載される電波・プラズマ波動観測装置「RPWI」(紹介の日本語論文:こちら)の日本側観測装置責任者を遂行する関係で、昨年度末にインタビューを受け、割と気楽に話をした結果をまとめていただいたのが、このリンク先となります。

次期国際協力大型ミッション JUICEプレイヤーインタビュー:Vol.5 / 2018.10.5
(on JAXA JUICE Japan web)

欧州ミッションなので、どうせなら英語にしていただけると、ESAや欧州サイドからもlinkしていただけるのにな、と思う反面、こうして大学サイドの貢献度がきちんとJAXAのwebサイトで頂ける、というのは、ありがたいことではあります。なお、メーカーサイドの方々のお名前は出しにくいらしく削除されてしまいました。でも、私としてはこういう「原稿にして歴史に残せる機会」は、一緒に苦労を耐えていただいた方々への目に見えるまた残る「お礼の機会」だとも思っております。我々の場合、メーカーの方々は単なる「発注先」ではとてもなく、一緒に考え苦労・工夫してきた「戦友」であり、「発注元」「発注先」というドライな関係にはなりえませんので。(良くも悪しくも、日本の宇宙科学の質は、この相互の信頼関係とリスペクトがあって進んできたもので、これなしにはそもそも日本の低予算でまともな国際競争場裡に立てるとは私には思えません・・・・まあ、幸い、東北大契約ではないですのでね。)・・・ということで、この場を借りて、私が直接関わってきた中で数知れずいろいろお世話になってきた日本電気・三菱重工・日本飛行機、そしてJUICE真っ只中での明星電気の皆様に、ここで御礼を申し上げます(どなたもここの存在には気づかないと思いますが)。

また以下は、この取材時に撮影いただいた「東北大にいる JUICE RPWI Japanの全スタッフメンバー集合写真」です。これは「ぜひ使ってくれ」とお願いしたがためにJAXAのサイトにも同じ写真はあるのですが、お名前がないので、ここでご紹介を。

<後列> 坂野井さん (准教授:惑星&オーロラ 光赤外観測)、熊本さん(准教授:惑星 電波・レーダー観測)、北さん(現JAXA・学振特別研究員:惑星 電波・赤外線・紫外線観測)、加藤さん(教授:地球・惑星 プラズマ大規模シミュレーション)。<前列> 土屋さん(助教:惑星&オーロラ 電波・紫外線観測)、私、三澤さん(准教授:惑星 電波観測)

kasaba-3.jpg

こういう「チーム全員集合写真」を撮る機会は意外に稀で、例えばこの写真には金沢大・京大・名古屋大他の面々は、物理的にいなかったので写っておりません。この点は最近ちょっと反省中で、歴史にちゃんと「形で」刻むという意味で、写真は大事にしようと思っています。(ものの写真は「記録」として山ほどありますし、サイエンスチーム全員写真みたいなものは研究会であるのですが、「開発チーム」となると、目の前の作業にいっぱいいっぱいで、「人」の写真は撮らないのですよね・・・とっても、工場の中の写真とかですと、うっかり掲示もできませんし・・・・) (なおここは、うちの建物の「打ち合わせ」兼「図書室」です。)


以下は、「JUICE RPWI Japan」の状況です。

ブログ掲載のとおり、8月に夏休みを返上してのウプサラでの統合試験後、日本側で「電波プリアンプ(RWI Preamp)」の品質保証モデル(Qualification Model, QM: まだ飛びません。)の出荷試験を明星電気のみなさまと行ってきました。

9月頭には院生の中村君(M1)にも手伝ってもらいつつの「機械環境試験(打上・分離時等の振動に耐え抜くことを証明する試験)」。9月中旬には院生の平井さん(M2)にも3交代制の一翼を担ってもらいつつの「熱環境試験(木星近傍の-180degC から 金星近傍の +110degC まで耐え抜くことを証明する試験)」。

現在、これらを含め、7月末から進めてきた各種試験結果をまとめた「出荷審査資料」を作成して、昨日、審査委員へ送付。10/12(金)に、現物を前にしたこの出荷審査を行ったうえで、これにつける「3軸6本のアンテナ」を作成中のポーランド・アストロニカ社へ出荷される予定です。彼らにとって、ちゃんと宇宙で伸展可能なアンテナをうちのプリアンプに組み合わせてフルに試験するのは、実はこれが初めて(私からみればとても心配)。なんとかこの品質保証モデルでの試験を通過して、無事、フライト品の製造へ反省を反映させて頂けると幸いです。


ハイデルベルグ大にAlexくんが帰り、また新たにPaulくんがくる、とかの形で、いろいろ人も入れ替わりました。後期に入って私は1年生・3年生向け講義も始まり(顔と名前が一致しない・・・)、また今年度のM・D論中間審査も開始され(みなさま、国際水準に達するものを生産すべく、頑張ってください・・・)と、いろいろ急速に時は動いていきます。着実に頑張っていく予定です。

(文責:笠羽)

2018年9月14日

日欧合同水星探査機 BepiColombo 打ち上げ迫る [現予定: 日本時間で2019/10/19昼]

日欧合同水星探査 Bepiくんは、欧州宇宙機関(ESA)の水星表面探査機MPO(Mercury Planetary Orbiter)JAXA担当の水星磁気圏探査機「みお (Mercury Magnetospheric Orbiter: MMO)」の載せて水星まで向かう、という史上初の「2機編隊の惑星探査」です。先日お亡くなりになった米Messenger探査機を継いで、より内側には惑星が存在できしない灼熱の「水星」の総合観測を行います。
今のところ、南米のギアナスペースセンター(仏領ギアナ)から、来月10月19日(金)の日本時間11時頃に打ち上げが行われる予定です。探査機側は、(まだ)ノートラブルで準備が進んでいるとのこと。

この計画は、1990年代末に独立で行われていた日本側・欧州側の水星探査計画が融合して生まれたものです。宇宙科学における日欧の深い協力関係は、このミッションから本格的に始まりました。
私は、富山県立大から宇宙科学研究所(ISAS:JAXAへの統合以前)に移った直後、2000年頃の両者融合検討のスタート時から延々と関わってきました。ISASにいた頃は、みお君の「観測装置取りまとめ係」兼「観測装置統合制御装置 Mission Data Processor (MDP) 」の主担当として。東北大に移った2007年以降は、前者からは解放されましたが、後者は延々と。京大・生存圏研究所(私の出身研究室でもある)にこの探査機の「全観測装置シミュレーション環境」を置かせていただき、出張および仙台からのリモート試験でなんとかこなしてきました。

さらに、日欧合同の電波・プラズマ波動・電場観測装置「Plasma Wave Investigation(PWI)」チームの主責任者もやらないといけなくなりました。この取りまとめは当初、京大・生存圏の松本紘先生(私のD論の師匠)でしたが、2008年に総長になってしまわれたので・・・その後もいまだに理研の理事長ですし。
そもそも、水星到着はまだ遥か先の2025年(これもまだ「予定」)。重力が弱くまた太陽の近くを廻る水星には、地球(x1)、金星(x2)、水星(x6)のフライバイを使って燃料を節約しつつ速度を落とし、7年かけてようやくたどり着きます。当初、このミッション実現に日欧で大活躍された方々は、いずれもみなさん引退されつつある。我々の世代が今の主戦力、また2025年からのフル活動はさらに次の世代も担うことになります。単に距離だけの問題ではなく、「世代交代を含む長い旅」になる。
結果的に、PWIチームは、国内では後から開発が始まったがすでに飛翔するAraseくんの「Plasma Wave Experiment(PWE)」が先に子供として生まれ、また日欧で開発中の欧木星探査機JUICE (2022打上予定)の「Radio and Plasma Wave Investigation (RPWI)」が孫として育ちつつあります。前者で活躍しまた育つメンバーが、BepiくんそしてJUICEくんのコアになることになります。

欧州側のチームメンバーは、南米の打上射場に山ほど来るそうです(特にフランス:なにせ「パリから約5時間の国内旅行」)。
日本からは、私と、京大・生存圏研の小嶋浩嗣先生が、うちの装置チームの責任者として(双方とも、講義はちょっとサボらせていただき・・・)行くことになります。金沢大の笠原さん・八木谷さんなど他にもいろいろ関係者はおいでなのですが、黄熱病の予防注射も受けないといけないし、後期講義は始まっているし・・・でなかなか時間を作るのも大変。

まずは現地で、 "健やかに、元気に旅立つ" 姿を眺めてくる予定です。
MDP・PWIの電源が次に入るのは、無事生まれ宙に上がってからの、11月半ばです。

<LINKs>

BepiColombo missionの最新情報(JAXA)
日本が担当する水星磁気圏探査機「みお」の紹介(JAXA 宇宙科学研究所)
東北大・研究科広報の関連記事
東北大・宇宙航空研究連携委:直近の予定

(文責:笠羽)

2018年9月 3日

放送大学・宮城学習センターで面談授業を行いました

東北大学で進めている研究によって、太陽・惑星分野の知見が増えて来ました。最近の成果を、市民の皆様にお届けする機会を、放送大学・宮城学習センター所長の大渕先生から頂きました。今回の題目は、「太陽が支配する地球惑星環境」です。太陽は、生まれて以来46億年にわたり、私達の地球にエネルギーを与えています。大変、安定した星(恒星)ですが、良く見ると表面は激しく変動しています。フレアーと呼ばれる爆発現象が発生し、周辺の宇宙空間に大量の放射線やプラズマ(荷電粒子)を放出します。人工衛星や宇宙飛行士は、その影響を受けてしまいます。また、地球の極域にオーロラを輝かせ、超高層大気の化学組成を変化させます。今回は、激しく息づく太陽の姿にスポットを当てて、7月のある土日の2日間、面談授業を行いました。受講の方々は、20代から80代の広い年齢層の方々で、興味は多域に渡っています。太陽や惑星、そしてオーロラについて、観測した映像や、コンピュータシミュレーションのムービーを見ていただきながら、出来るだけ分かり易く解説を致しました。沢山の質問を頂きましたが、難しい質問もありました。受講の皆様の関心の高さを感じます。まだ、お伝え出来ていない事が残っています。次回(来年)は、宇宙に発生する嵐の正体と、嵐の予報(宇宙天気予報)について、話したいと思っています。(小原隆博)

4ccb9070.jpg