2018年9月14日

日欧合同水星探査機 BepiColombo 打ち上げ迫る [現予定: 日本時間で2019/10/19昼]

日欧合同水星探査 Bepiくんは、欧州宇宙機関(ESA)の水星表面探査機MPO(Mercury Planetary Orbiter)JAXA担当の水星磁気圏探査機「みお (Mercury Magnetospheric Orbiter: MMO)」の載せて水星まで向かう、という史上初の「2機編隊の惑星探査」です。先日お亡くなりになった米Messenger探査機を継いで、より内側には惑星が存在できしない灼熱の「水星」の総合観測を行います。
今のところ、南米のギアナスペースセンター(仏領ギアナ)から、来月10月19日(金)の日本時間11時頃に打ち上げが行われる予定です。探査機側は、(まだ)ノートラブルで準備が進んでいるとのこと。

この計画は、1990年代末に独立で行われていた日本側・欧州側の水星探査計画が融合して生まれたものです。宇宙科学における日欧の深い協力関係は、このミッションから本格的に始まりました。
私は、富山県立大から宇宙科学研究所(ISAS:JAXAへの統合以前)に移った直後、2000年頃の両者融合検討のスタート時から延々と関わってきました。ISASにいた頃は、みお君の「観測装置取りまとめ係」兼「観測装置統合制御装置 Mission Data Processor (MDP) 」の主担当として。東北大に移った2007年以降は、前者からは解放されましたが、後者は延々と。京大・生存圏研究所(私の出身研究室でもある)にこの探査機の「全観測装置シミュレーション環境」を置かせていただき、出張および仙台からのリモート試験でなんとかこなしてきました。

さらに、日欧合同の電波・プラズマ波動・電場観測装置「Plasma Wave Investigation(PWI)」チームの主責任者もやらないといけなくなりました。この取りまとめは当初、京大・生存圏の松本紘先生(私のD論の師匠)でしたが、2008年に総長になってしまわれたので・・・その後もいまだに理研の理事長ですし。
そもそも、水星到着はまだ遥か先の2025年(これもまだ「予定」)。重力が弱くまた太陽の近くを廻る水星には、地球(x1)、金星(x2)、水星(x6)のフライバイを使って燃料を節約しつつ速度を落とし、7年かけてようやくたどり着きます。当初、このミッション実現に日欧で大活躍された方々は、いずれもみなさん引退されつつある。我々の世代が今の主戦力、また2025年からのフル活動はさらに次の世代も担うことになります。単に距離だけの問題ではなく、「世代交代を含む長い旅」になる。
結果的に、PWIチームは、国内では後から開発が始まったがすでに飛翔するAraseくんの「Plasma Wave Experiment(PWE)」が先に子供として生まれ、また日欧で開発中の欧木星探査機JUICE (2022打上予定)の「Radio and Plasma Wave Investigation (RPWI)」が孫として育ちつつあります。前者で活躍しまた育つメンバーが、BepiくんそしてJUICEくんのコアになることになります。

欧州側のチームメンバーは、南米の打上射場に山ほど来るそうです(特にフランス:なにせ「パリから約5時間の国内旅行」)。
日本からは、私と、京大・生存圏研の小嶋浩嗣先生が、うちの装置チームの責任者として(双方とも、講義はちょっとサボらせていただき・・・)行くことになります。金沢大の笠原さん・八木谷さんなど他にもいろいろ関係者はおいでなのですが、黄熱病の予防注射も受けないといけないし、後期講義は始まっているし・・・でなかなか時間を作るのも大変。

まずは現地で、 "健やかに、元気に旅立つ" 姿を眺めてくる予定です。
MDP・PWIの電源が次に入るのは、無事生まれ宙に上がってからの、11月半ばです。

<LINKs>

BepiColombo missionの最新情報(JAXA)
日本が担当する水星磁気圏探査機「みお」の紹介(JAXA 宇宙科学研究所)
東北大・研究科広報の関連記事
東北大・宇宙航空研究連携委:直近の予定

(文責:笠羽)

2018年9月 3日

放送大学・宮城学習センターで面談授業を行いました

東北大学で進めている研究によって、太陽・惑星分野の知見が増えて来ました。最近の成果を、市民の皆様にお届けする機会を、放送大学・宮城学習センター所長の大渕先生から頂きました。今回の題目は、「太陽が支配する地球惑星環境」です。太陽は、生まれて以来46億年にわたり、私達の地球にエネルギーを与えています。大変、安定した星(恒星)ですが、良く見ると表面は激しく変動しています。フレアーと呼ばれる爆発現象が発生し、周辺の宇宙空間に大量の放射線やプラズマ(荷電粒子)を放出します。人工衛星や宇宙飛行士は、その影響を受けてしまいます。また、地球の極域にオーロラを輝かせ、超高層大気の化学組成を変化させます。今回は、激しく息づく太陽の姿にスポットを当てて、7月のある土日の2日間、面談授業を行いました。受講の方々は、20代から80代の広い年齢層の方々で、興味は多域に渡っています。太陽や惑星、そしてオーロラについて、観測した映像や、コンピュータシミュレーションのムービーを見ていただきながら、出来るだけ分かり易く解説を致しました。沢山の質問を頂きましたが、難しい質問もありました。受講の皆様の関心の高さを感じます。まだ、お伝え出来ていない事が残っています。次回(来年)は、宇宙に発生する嵐の正体と、嵐の予報(宇宙天気予報)について、話したいと思っています。(小原隆博)

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2018年8月16日

スウェーデン・ウプサラの夏

笠羽・土屋は、今週スウェーデン・ウプサラに来ております。

今回の作業は、欧州木星探査機JUICEに搭載される電波・プラズマ波動観測装置「RPWI」(紹介の日本語論文:こちら)の追加試験です。現在、「Engineering Model」の試験中ですが、うちの高周波受信機(HF)を全体ユニットに入れると雑音が増える、というやっかいな問題があり、「ノイズ除去ユニットを足しに来た」というところです。ひとまず狙い通りの効果があることを確認してほっとしています。これで、実際に飛ぶ「ProtoFlight Model」のこの秋からの製造開始が可能になりました。

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写真は「試行錯誤中の試験風景」と「悩む土屋さん」。

こちらの気温は12-22 degC。いきなり10月頭になったような感じです。この「夏の終わり」を彩るスウェーデン名物行事「crayfishパーティ」に参加すべく、RPWIの主任研究者である Jan-Erik Wahlundと奥さんの諸岡さん(元・宇宙研、現・ウプサラ大)のお宅にお伺いしました。お呼ばれしました。「crayfish」=「ざりがに!」です。ご幼少のみぎり、ザリガニは山ほど捕まえましたが、あれは食い物だったのか! 真っ赤なザリガニを前に、ザリガニマークのエプロンと帽子をかぶり、ご近所のみなさんも一緒に、歌いながらそのたびに猛烈なアルコール度数の酒をあける、というなんとも「学生イベント的」な楽しい会でした。私は、琵琶湖就航歌を「6番まで全部歌わんとならんねん。某体育会の掟やねん。」と歌いきり、顰蹙をを買いましたよ。

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まだまだ続くぬかるみぞ、ですが、着実に頑張っていく予定です。

(文責:笠羽)

2018年8月 7日

オープンキャンパス2018

今年も7月31日、8月1日の2日間、東北大学のオープンキャンパスが行われました。 今年は昨年とは異なる会場となりましたが、宇宙地球物理学科・地球物理学コースのブースにおいて、 大学院生や教員による日頃の研究の説明や体験コーナーを設けたりしました。 大学進学を控えた近隣の高校生だけでなく、 研究室配属を控えた学部生や家族連れの方々に足を運んで頂き、大変ありがとうございました。 (鍵谷)

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2018年8月 1日

仙台市天文台公開サイエンス講座 「火星ってどんなところ?~人が住めるか考えよう~」

昨年度に引き続き、仙台市天文台と東北大学理学研究科主催の公開サイエンス講座が7月28日(土)に仙台市天文台開催されました。今年は15年ぶりの火星大接近ということで、「火星ってどんなところ?~人が住めるか考えよう~」というテーマで企画を行いました。私たち地球物理学専攻C領域地学専攻の中村研掛川研のみなさんで、2か月ほど前から展示物等の準備を重ね、当日は悪天候にもかかわらず550名以上の方が来てくださりました。火星の地形の3D模型に触れたり、ペーパークラフトや折り紙で火星や探査機を工作したりと、お子さんも親御さんも楽しんでいただけたのではないでしょうか。中には夏休みの自由研究にするために、熱心にメモを取るお子さんもいらっしゃいました。

昨日がちょうど最も火星が接近した日でしたがどのくらいの人が火星をみたのでしょうか。前回の火星大接近時に私は小学校4年生ほどで、最も接近した日に望遠鏡をのぞいたらしいのですが、眠かったのか次の日には全く火星を見た記憶はありませんでした。私の話はどうでもいいですね。今回来てくださったお子さんたちの中にも、将来宇宙の研究をする子がいると嬉しいですね。

(平井)

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2018年7月17日

岡野章一 (元センター長) FMラジオ出演 [8月の毎週木11:40-50]

岡野先生が、PPARC元センター長として Date FM(77.1MHz)に出演されることになりました。8月の毎週木曜日 11:40-11:50 (10分間)、5回シリーズ(8/2, 9, 16, 23, 30)です。(番組は「German Factory Group Presents Deep Diver !」だと思いますが、正しいでしょうか。お車方面でのお付き合いからでしょうかね。)

南極・北極のこと、ハワイ・マウイ島ハレアカラ山頂での観測活動のこと、飯館からの移設となった 60cm望遠鏡のこと、建設中の PLANETS 1.8-m 望遠鏡のこと、最近はまっているチェロのこと、などをお話されるそうです。

2014年に行われた60-cm望遠鏡の開所式(「宮城の新聞」「開所式レポート」)からすでに4年近くたち、つい6月には金星(JAXAあかつき探査機への支援観測)や火星(発生中のダストストーム観測)を行うなど、小さいながらフル稼働中の現役世代ですが、のんびりしたお話も伺えることを私も楽しみにしております。学部は夏休みに入りますし(8/8まで講義期間ですが)。

(文責:笠羽)

2018年7月 9日

オースチンのSPIEに参加しました

6月10-16日まで、アメリカのオースチンのSPIE Astronomical telescopes+instrumentation に参加してきました。SPIEは光学望遠鏡関係で世界一大きな会合で、ここでは大型・宇宙望遠鏡と先端観測装置、天文学の先端研究の最新情報を得ることができます。

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オースチンはとても暑くて日中は37℃くらい。

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近郊に住んでいる(といっても車で数時間)小笠原さんが家族一緒に会いに来てくれました。10年以上ぶりに再会しました。

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PLANETS望遠鏡計画の話をしました。

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(文責:坂野井)

2018年6月21日

古賀亮一さん(D2)の論文が米国地球物理学連合のリサーチハイライトに選出

古賀亮一さん(D2)の論文が米国地球物理学連合のリサーチハイライトに選出され、
研究成果の記事がEarth & Space Science Newsに掲載されました。
https://eos.org/research-spotlights/the-oxygen-neutral-cloud-surrounding-jupiters-volcanic-moon

木星の衛星イオは、太陽系で最も活発な火山活動を持つ天体で、その大気は二酸化硫黄を元にした酸素と硫黄のガスから構成されています。

ひさき衛星が木星の衛星イオを極端紫外線で観測したデータを使い、
衛星イオの大気から宇宙空間に流出した酸素原子が木星の周りを広く取り巻いている様子を、初めて明らかにしました。
(土屋)

ひさき衛星プロジェクト:http://www.isas.jaxa.jp/home/sprint-a/
東北大学ハワイ・ハレアカラ観測所:http://pparc.gp.tohoku.ac.jp/observatory/hal/
宇宙科学研究所ニュース 特集:惑星分光観測衛星「ひさき」

2018年6月14日

平井あすかさん(M2)がAOGS2018でBest Student Poster Award受賞

ホノルルで開催されたAOGS2018(アジア-オセアニア地球科学連合)で当センター修士課程2年の平井あすかさんがBest Student Poster Awardを受賞しました。http://www.asiaoceania.org/aogs2018/public.asp?page=posterAwards.htm#st

地球周辺の宇宙空間で光速に近い速度にまで加速を受けた高エネルギー電子は、地球の双極子磁場に閉じ込められます(放射線帯)。
磁気嵐が起きるとこの閉じ込めが破れ、高エネルギー電子が消失する現象が生じますが、消失のメカニズムと消失先はまだ明らかになっていません。

北米に設置した低周波電波観測とオーロラ観測を組み合わせ、放射線帯の中で発生した低周波の電場・磁場の波(電磁イオンサイクロトロン波動)が高エネルギー電子の軌道を散乱させ、高エネルギー電子が大気に消失する証拠をつかみました。

写真は授賞式の様子です(撮影:坂野井さん)。(土屋)

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関連する研究プロジェクト
あらせ衛星
PWING:地上多点ネットワーク観測による内部磁気圏の粒子・波動の変動メカニズムの研究

AOGS2018 in Honolulu

6月4~8日にハワイのホノルルで、AOGS(Asia Oceania Geosciences Society) 15th Annual Meetingが開催されました。PPARCからは、坂野井先生、土屋先生、吹澤君、平井が参加しました。

下の写真はポスター発表の様子です。私の腕だけ写っています。ポスター発表の時間は2時間で、あっという間に終わってしまいました。自身の発表だけでなく、世界中の研究者の最新の研究をたくさん聞くことができ、とても有意義な時間でした。

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余談ですが、ホノルルはやっぱり観光地なんだなあと思いました。

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(平井)